2017年10月2日月曜日

直営店スタッフの原田が「AES 基礎音響セミナー2017」に行ってきました。

オヤイデ電気直営店スタッフの「原田」が、
AES 基礎音響セミナー」に参加してきました!


/// AES(Audio Engineer Society)について ///
 AES (Audio Engineering Society Inc.) は、米国ニューヨークに本部を置き、日本をはじめ世界各地に支部を有するオーディオ技術者、研究者など専門家の団体で、オーディオに関する唯一の国際組織です。
 AESは、オーディオ工学やその関連分野における科学発展に寄与することを目的として、1947年に設立され、50年以上の歴史を持ちます。現在、世界に約20,000名のオーディオ技術者や研究者などが会員として登録されています。

AES本部:http://www.aes.org/


オーディオ」「ギター/ベース」「DTM」「DJ」など”音”に関わる様々なお客様と接する中で、
確固たる音への理解が必要だと思い、この度セミナーに参加することにしました!

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セミナーは「東京芸術大学 千住キャンパス」にて開催されました。
もはや大学の講義と同じ雰囲気です。

大学生になった気分でした。
入口の立て札。
周りは静かで緊張感が漂ってました。
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 /// 基礎音響セミナー2017 プログラム ///

A1 – 音の基礎 講師:星和磨(日本大学)

音はなぜ―大きく・小さく、高く・低く、綺麗に・汚く―聞こえるのでしょうか。目でみえない音を数や式といったフィルターを通してみると意外と理解しやすいものです。この講義では、これらの項目と、周波数・波長・音速・音圧・レベル・周波数特性・A特性・オクターブバンドレベルといったキーワードとが対応づくことを目指します。さらに周波数分析の基礎についてもわかりやすく解説します。
予定講義内容
・音が伝わるしくみ
・音の大きさと高さ
・音圧レベルとデシベル
・周波数特性とA特性補正
・倍音と和音
・周波数分析のしくみ

A2 – 聴覚と音知覚の基礎 講師:西村明(東京情報大学)

オーディオエンジニアにとって音を分析的に聴く行為から逃れることはできません。では、我々の聴覚は音をどのように捉えているのでしょうか?音という物理的な現象は、聴覚器官と脳の働きによって、心理的な現象として知覚されます。聴覚の仕組みを簡単に説明した後、音の物理的特徴と心理的な知覚現象との対応関係について、オーディオエンジニアリングに特に関係すると思われる話題をいくつかとりあげて、実際に音を再生して体験してもらいながら解説します。
予定講義内容
・耳もやっぱり歪む: 聴覚器官の概要,差音,結合音,主観倍音
・耳の感度は?: 音圧レベルと音の大きさ,ラウドネス
・存在するはずの音が聴こえない: 臨界帯域,周波数マスキング,時間マスキング
・音の空間的印象を規定する要因: 方向知覚,先行音効果,強度差時間差補充,拡がり感と見かけの音源の幅

A3 – デジタル信号処理の基礎 講師:渡邉祐子(東京電機大学)

“デジタル信号処理“は大きく分けると信号の制御と分析に役割を分けることができます。これらを前提にして、音響技術の初心者を対象に、音をデジタル化する仕組みや利点・欠点、決まりごとについてわかりやすく解説します。
予定講義内容
・アナログ信号のデジタル化(標本化,量子化,符号化)
・デジタルオーディオにおける基礎事項(サンプリング周波数,量子化ビット数,データサイズ)
・オーディオ信号の周波数解析
・デジタルオーディオ処理

A4 – 電気音響の基礎 講師:田村良隆(スタジオイクイプメント)

エンジニアを目指す方に、知っておくと便利な電気の基礎理論を解説します。現場作業において、どのような電気理論が何に役に立つのかといった発想方法を身につけて頂きます。
予定講義内容
・電気の基礎: オームの法則、交流と直流、電源、グランド
・回路の基礎: 直列と並列、インピーダンス(ロー出しハイ受けなど)、レベルについて、バランス伝送とアンバランス伝送
・応 用 編: ノイズについて(ノーマルモードノイズ,コモンモードノイズ)、シールドについて(静電・磁気・電磁シールド)

B1 – 室内音響入門 講師:中原雅考(ソナ / オンフューチャー)

部屋の中での音の振る舞いに関して、理論的な考え方の基礎体力を身につけて頂きます。室内音響を理解する上で不可欠な「波動音響」「幾何音響」「統計音響」といった一通りの理論を解説します。これまでに音響学を学んだことのない方々が、音の振る舞いを正しくイメージでき、身につけた知識をコントロールルーム、リスニングルーム、スタジオなどの音響設計に応用できるよう基礎固めを行うとともに音響設計の実践手法を紹介します。また,教室内に存在しているモードを実際にあぶり出し、モード現象を体感して頂きます。
予定講義内容
・部屋がもたらすもの
・中高域の響き:反射音と聴感,幾何音響学,統計音響学
・低域の響き:波動音響学
・実践音響設計:室内音響チャート
・モード体験

B2 – 音の心理評価入門 講師:丸井淳史(東京芸術大学)

音の評価のために行われる音響心理実験では、どんなことに気をつけなければならないのでしょうか?思わぬところで出くわす落とし穴を紹介し、心理音響と音の評価実験の基礎を身につけて頂きます。
予定講義内容
・実験の目的
・研究の流れ(研究目標の設定から実験を経て報告まで)
・評価語・評価尺度
・バイアスと文脈効果

B3 – 実用デジタルオーディオプロセッシング 講師:鈴木久晴(エヴィクサー)

デジタル信号処理の概念がなんとなくわかる方々を対象にしたデジタル信号処理の実践講座です。コンピュータ上で実際に音響信号を取り扱い、グラフ等で可視化するための技術に関して解説します。フリーのプログラム言語であるPython(パイソン)がインストールされているノートパソコンを持参して頂くと、実際にプログラミングを体験しながら、受講して頂くことができます。
予定講義内容
・デジタル信号とコンピュータ
・Pythonによる信号処理環境の整備
・FFTを使った周波数分析
・フィルタ

B4 – スピーカ入門 講師:小谷野進司(KOYANO Sound Lab.)

音響技術やオーディオ機器の設計等に携わる初心者を対象に、スピーカの基礎からキャビネットの設計までを実例を示しながら学んで頂きます。
予定講義内容
・電気音響等価回路の基礎
・動電型スピーカの動作
・スピーカの種類
・ホーンスピーカ
・スピーカシステム
・キャビネット設計の実際

B5 – マイクロホン入門 講師:小野一穂(NHK放送技術研究所)

マイクロホンの動作原理や指向特性、等価雑音などの基本概念について、音響の初心者を対象に解説します。
予定講義内容
・マイクロホンの基本構造、感度・雑音、指向性
・録音用マイクロホン、さまざまなマイクロホン
・ステレオ収音とマイクロホン
・マイクロホンの指向性による音の違い
・ダイナミックマイクやコンデンサーマイクなど、マイクの種類による音の違い

B6 – ステレオ録音入門 講師:亀川徹(東京芸術大学)

ワンポイントステレオ録音のおこなう上でのマイクロホンの位置の検討方法について,実際にスタジオでの実習を交えながら解説します。
予定講義内容
・主なステレオ録音方式の概要
・レコーディングアングルを考慮したマイクロホンセッティングの考え方
・クリティカルディスタンスと直接音と間接音のバランスについて
・実際の録音と試聴

C – 技術英語入門 講師:鈴木弘明(MQA / ソナ)

音響、オーディオに携わるエンジニア、研究者、アーティスト、学生にとって英語は必須のコミュニケーションツールとなってきています。海外の人々と議論し、世界に自分の考えを積極的に発信していくことが求められています。本講座では、英語のスキルの中でも特に「Writing=書く」に焦点を当てます。AESのConventionやConferenceにおいて発表したペーパーは各国の人々に読んでもらえますし、また記録としても残ります。そのためにも「Clear」「Correct」「Concise」な英語の書き方を学んで頂きます。
予定講義内容
・英語の重要性
・日本人にとって難しい英語の要素
・冠詞、単数、複数
・前置詞
・関係代名詞
・日本語と英語の発想の違いに目を向ける
・短文の和英翻訳演習
・技術論文の書き方
・英語のプレゼンテーション
ボリューム感が半端ないです。
学生が半年ぐらいかけて勉強する内容を”数時間”にまとめて説明するので、講義も急ピッチで進めることになります。
朝10時から夕方18時まで勉強しっぱなしで、久しぶりに脳みそがフル回転しました。
全350ページを超える大ボリューム!
3回ほど通し読みしても全部は理解できません。。。
今回私が受講できた講義は
・音の基礎
・音の心理評価入門
・電気音響の基礎

特に「音の心理評価入門」が大変興味深く、
音の変化が”プラシーボではない”ことを証明するアプローチ方法について、
様々な手法があることを知ることができました。

また「電気音響の基礎」はケーブルに纏わる内容も多く、
特にノイズの種類や対策など、オヤイデ電気のお客様が悩みがちな部分も明確になって良かったですよ。
本当に基礎的な内容でしたが、改めて良い勉強になりました。

受講できていない講義の中にも「デジタル信号の基礎」や「室内音響入門」は面白そうだったので、
次回開催することがあれば再び参加したいと思います。

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もしオヤイデ電気直営店で「音響用のケーブルの選定」など音に関するご相談等ございましたら、
お気軽に「原田」をご指名くださいね。

皆様のご要望にお応えできるよう日々勉強してお待ちしております。

以上、原田でした~。

講義室の休憩時間。
学生の気分に戻った瞬間でした。

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