思えば数年前まですっかり化石化してしまっていたはずのアナログレコードですが、何かじわじわとターンテーブルもリリースされてるし、レコード自体が次から次へとリリースされている今日この頃です。それに乗っかってか否か、今売れている(話題の)アーティストもアナログ盤を結構リリースされているという時代です。まあその役割はリスニングとしてなのかコレクターズアイテムとしてなのかは定かではありませんが兎に角世界的にレコードリリースラッシュという様相を呈しております。
その証拠というかなんというか、レコードプレス(製造)が半年以上待ちだとか。しかもレコードの衰退によって2000年代にはレコードプレス会社の多くが廃業してしまっている状況でプレスの依頼だけがかさんでいくという現象が起きている(←イマココ)現状の様です。そうなるとリリースしたい側も良きタイミング(CDと一緒にリリースしたいなど)でリリースするためには6カ月も8カ月も前から計画しなきゃなりません(日本の東洋化成なら時間的融通はある程度きくそうですが)。そうなると中々思い通りのタイミングではリリース出来なさそうですよね。
しかしレコードで音楽を聴くという至高のリスニングをされているというのは意識が高いのか、快楽主義者なのかは人それぞれですが、実感としてアナログ(レコード)愛好者は老若男女問わず増殖中という事実は、我々オヤイデチームもひしひしと感じております。また我々オヤイデスタッフですら音楽をレコードでリスニングをする傾向があり、近所のディスクユニオンに足繫く通うスタッフの姿もちらほら。
と、マクラはこの辺にしまして、アナログプレーヤーのチューニングで皆さんが先ず気にかけるところといえばどこでしょうか?分かり易いところではやっぱり針ですかね。針によっては随分とサウンドキャラクターに変化をもたらします。よく聴くジャンルにも関わってきたりして。また針は消耗品。デリケートだし一定のタイミングで交換が必要とされるパーツです。使い過ぎれば音にも影響しますし、消耗した針は必然的に交換をしなければなりません。となるとじゃあ次は何のメーカーのどんな針を使おうかということになります。「今まではSHUREだったから、次はじゃあオルトフォンでも使ってみようかしら」と、ちょっとしたグレードアップを楽しんだりして。そんな経験をするうちに「何々?シェルリードを変えると音が変わる?」なんていう情報が耳に入って来るわけです。
じゃあということで私も随分昔ですが、テクニクスSL-1200mkIIの純正だったかな、細いリード線をaudio-technica製のPCOCCリード線に取り替えた経験があります。当時その変わりようには驚いたものです。わずか千数百円でのチューニングで音質が向上するなら、これはコストをかけた甲斐があるということで、そこからはもう調子に乗ってスタビライザーだ、ターンテーブルシートだなんだと、チューニングを繰り返し、「元の音どんなだっけ?」と思いつつ現在に至ります。そんなことはどーでもいいんですけど。
そんなこんなでここの所、何やらシェルリード(カートリッジとヘッドシェルを繋ぐ線です)が巷を賑わしているようです。各メーカーや個人の自作品など百花繚乱の様子。オヤイデにもPCOCC-A線の「HSR-CU廃版」と純銀線の「HSR-AG」の二種類の製品があるので、先ずはそいつらが一体どんなもんなのかをご紹介させて頂きましょう
先ずは「HSR-CU廃版」ですがこれはですね、オヤイデ遺産(笑)のPCOCC-Aを導体に使っております。そうです、あの古河電線で数年前に廃版となったPCOCCにアニーリングを施し、オヤイデ電気で一世を風靡した例の電線「PCOCC-A」です。このみんな大好きPCOCC-Aが生産終了になる前にこれでもかとストックを作ったお陰で今だに製造することの出来ているのがこの「HSR-CU廃版」、このシェルリード、どんな感じなのかというのが気になる所でしょう。ただシェルリードなだけに、導体:PCOCC-A(20/0.08)・絶縁体:PFA(フッ素樹脂)・シェルチップ:りん青銅/24Kメッキっていう仕様は至ってシンプルです。ただこのシンプルさこそが材質の特長を音として体現する要素なのです。かつてaudio-technica製PCOCCシェルリードで味わった音質よりもクリア且つワイドレンジな音質なのは恐らく22AWGのPCOCC-A導体の所為なのか、明らかに違いがあります。とはいえかたやPCOCC、かたやPCOCC-Aとまあ導体の素材は変わらず、あとは処理が違ったり絶縁体などの素材が影響しているのは確かだし価格にも反映されるところなのかも。ちなみに価格はテクニカのPCOCCのは売価で864円、オヤイデのPCOCC-Aは売価で1,555円となっております。なんとどちらもオヤイデオンラインショップで販売中。シェルリード道に入門するにはこの辺の製品が最適ですが、性能的には結構コストパフォーマンスの満足度は高いと思います。
そしてお次に紹介するのが「HSR-AG」。簡単に言うと純銀リードワイヤーです。難しく言うと高度な生産管理の下、高周波電気炉による連続鋳造、19工程にも及ぶ冷間圧延、2度に渡る焼鈍作業、ダイヤダイスによる引き抜き加工、スキンパス処理などを行い銀の純度が高いだけでなく、結晶粒界に隙間のない高品質な「高純度銀線」を使用。それら高度な生産管理の下製造された0.2mmの5N純銀単線は、7本に撚り合わされ十分な断面積(0.2sq)を確保。導体抵抗を最大限まで抑制した導体を絹糸を2重巻きにて絶縁しております。なんで絹糸なのかというと、天然素材である絹糸はアナログ再生の大敵である静電気を帯電させないという効用によってクリーンな信号電送に寄与し、電気特性に優れた素材だからなのです。外装に採用したガラス繊維スリーブも同様に、高い絶縁性と静電気の帯電しにくい素材で静電気をダブルでブロックという効果があります。そしてシェルチップは、バネ性の高いリン青銅を採用。コンタクトピンとの密着率を高め、表面にはロジウムメッキを施し、高耐久性且つハイレスポンスな音質を特徴づける要素となっています。でも一般的に銀線って何か音がキンキンするイメージがあるって言われることがありますがそこ、誤解なんです。これまでも純銀線の製品を数々リリースしてきたオヤイデ電気ですが、そのどれもが音に優しさを秘めており、且つ一音一音の解像度や幅広いレンジ感など、理想の音の再生のための手間(上記の通り)を掛けているのです。結果、通常銀の持つネガティブなイメージを払拭した製品と言っても過言ではないと言いたい!(主観ですけど)。
という感じでオーディオ上級者の皆さんも入門しようという方々もモノは試しなのです。ちょっとのアレンジで音質の変化を楽しんで頂きたい、というところでまずはシェルリード線のご紹介をさせて頂きました。
そして今日はまだ続きます!シェルリードと言えばヘッドシェル。オヤイデさんでも2種のカーボン製ヘッドシェルを作っております。何?カーボン製ですと?そうなんです。まあヘッドシェルも樹脂製、金属製、木製、等々、色んなのがあります。開発当時ですが、カーボン製もあるにはあったんです。でもどれもトゥエクスペンシブでして、まあまあなターンテーブルが買えてしまう位の価格だったんです。でもカーボン製のいいところは幅広いレンジ感とスピーディーな出音で、現代のハイエンドオーディオにマッチするところなんです。
「HS-CF」
「HS-TF」
廃版
廃版
ただでさえニッチなオヤイデ製品ですが、ここで更なるニッチ製品をご紹介させて頂きたい。それがこの謎のプレート3枚組、「MCS-CF」です!MはマルチのM、CはカートリッジのC、SはスペーサーのS、CFはカーボンファイバーの略でございまして、商品名称が機能そのまんまを表しています。使い方はこう。見た方が早いでしょう。要するに厚さ可変式のヘッドシェルとカートリッジの高さをカーボンプレートで調整できるという、ありそうでない(いや、なさそう)製品、それが「MCS-CF」。カーボン素材のスペーサーを取り付けることによって、素早い振動減衰も期待できます。なので結果、音がよりクリアになることも期待できるというなかなかの製品です。
アナログアクセサリー、他にも色々あります!過去にもご紹介したものもありますが、とりあえずこちらをご覧頂いてあなたの夢を膨らませて頂ければ、ありがたき幸せにございます。
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