知る人ぞ知る「錦糸線」
お客様のご要望にお応えし、切売販売を開始しました!
それぞれ¥600/m(税別) 【 商品ページはこちらから 】 |
主にスピーカーユニットのボイスコイルとスピーカーターミナル間を接続しているリード線として錦糸線が使われています。あまり聞き馴染みのない名前かと思いますが、実はほとんどのスピーカーに使用されている影の立役者的存在のリード線です!
ここに使われています。見たことあります? |
何故”錦糸線”が使われている?
「縄跳び現象」と呼ばれる現象はご存知でしょうか?スピーカーが前後に駆動することでリード線が伸び縮みを繰り返すのですが、その際にリード線が縄跳びのようにクルクル回ってしまう現象が起きます。これにより線材のきしみ音や周囲にぶつかって発生する物理的混入ノイズを拾ったり、根元から断線しやすくなるという問題が発生します。
なので、この部分には屈曲性と引張強度に優れた「錦糸線」が標準的に採用されています。リード線がしなやかになることによってコーン紙の前後運動の挙動にストレスを与えにくくなり、縄跳び現象も抑制します。
また通常のビニル線よりも広い周波数帯域に渡って安定したインピーダンス特性を持っている為、位相変化も最小限に留められ、入力信号に対してより正確な信号を伝達できる音響特性も持ち合わせています。
【錦糸線の生い立ち】
錦糸線に纏わる特許はいくつか存在しますが、実は1997年に「松下電器」も申請しており、特許技術データベース「Google Patents」でも内容が確認できます。世界で当たり前に使われている技術が日本の技術だと何だか嬉しくなりますね。
【錦糸線の構造】
「中心糸(アラミド繊維)」に「銅合金の箔線」を巻き付けます。それをまず4本で撚り合わせたものを、さらに3束にまとめたものが現在オヤイデ電気で販売している仕様となります。ちなみにオヤイデ電気で販売している錦糸線は日本製で、高品質なアラミド繊維を使用しております。海外製になると中心糸が粗悪なものになっていることも多いそうです。
【錦糸線のラインナップ】
在庫品の太さは1種類のみですが、メッキのバリエーションとしてメッキ有り・無しの2種類を用意。スピーカー補修に使用される場合、本来付いている仕様に近い錦糸線を選択することをお勧め致します。
線の太さは許容電力に直結しますので、なるべく純正仕様と同じ太さをお選びください。目安として外径の太さを計るか、測る工具をお持ちでない方はサンプルをお持ち込んで比較することも可能です。
※オヤイデ電気が在庫している錦糸線は1.18mm。下記が許容電力の目安となります。
●4Ω:150W ●8Ω:300W
メッキの選定については、メーカーの設計意図が反映されていることが多いので、特別理由がない限りは純正品に合わせましょう。
無メッキは「音質重視設計」のスピーカーユニットに多く搭載されます。線の太さは許容電力に直結しますので、なるべく純正仕様と同じ太さをお選びください。目安として外径の太さを計るか、測る工具をお持ちでない方はサンプルをお持ち込んで比較することも可能です。
※オヤイデ電気が在庫している錦糸線は1.18mm。下記が許容電力の目安となります。
●4Ω:150W ●8Ω:300W
メッキの選定については、メーカーの設計意図が反映されていることが多いので、特別理由がない限りは純正品に合わせましょう。
銀メッキは「耐久性重視設計」のスピーカーユニットに多く搭載されます。屋外や湿気の多い場所などでは、銀メッキで導体表面の腐食を防止します。音質的には無メッキに比べて少し硬質な出音が得られます。
【色々な応用も!】
例えば「イヤホン・ヘッドフォン用」にもオススメ!
屈曲に強いので断線しにくく、しなやかなのでタッチノイズも抑えられます。位相変化も最小限に留められるので、正確な音を再生してくれます。こちらを試聴頂いたお客様からも「ナチュラル傾向で良い!」「癖の無い質感」と好評いただいており、何本も特注製作依頼の実績もございます。
ちなみにオヤイデ電気で扱っているリケーブル用線材10種類以上の位相変化を計測したところ、錦糸線が最も位相変化が少なくフラットな特性が出ています。※もし「完成品が欲しい!」という場合はお見積り致しますので、お気軽に店舗までご連絡ください。
錦糸線は絶縁被覆が付いていないので、撚り合わせる際には絶縁処理が必要です。オヤイデ電気で特注製作する際は「スミチューブC 透明 2.0φ」を使用しています。※写真のようになります!
≪線材(1m辺り)のインピーダンスと位相の周波数特性を測定したグラフ≫
オヤイデ電気の線材と比較しましたグラフを公開致します。是非参考にしてみてください。
インピーダンスの周波数特性
※画像をクリックで拡大ができます。 |
インピーダンスのグラフを見るとを見ると10kHzまでは+0.01Ω程度ですが、20kHzを越えてくると大きな差が出ています。周波数帯域全体を見通した時のフラットな特性を優先するのか、交流抵抗値の低さを優先して選定するのか、色んな角度から考察すると面白くなりそうです。
非メッキ錦糸線:(1kHz)0.54Ω (10kHz)0.55Ω (20kHz)0.56Ω
銀メッキ錦糸線:(1kHz)0.53Ω (10kHz)0.53Ω (20kHz)0.55Ω
精密導体102SSC撚り線:(1kHz)0.19Ω (10kHz)0.20Ω (20kHz)0.24Ω
HPC-28-2U V2:(1kHz)0.24Ω (10kHz)0.26Ω (20kHz)0.28Ω
4N純銀撚り線::(1kHz)0.15Ω (10kHz)0.17Ω (20kHz)0.21Ω
位相の周波数特性
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※画像をクリックで拡大ができます。 |
位相変化については、錦糸線がとても良い結果を得られています。20kHzにおいて錦糸線は「12.55deg」しか変化がないです。他の線材において12.55degの位相変化が起きる周波数は下記の通り。錦糸線は位相変化の少ない特性であることが分かります。
ただし他の線材はもっと位相変化が大きく、「実は性能が悪いのかな?」と思わされるような線材でも音がめちゃくちゃ良い線材だったりしてたので、一概に波長短縮による特性の良し悪しのみで良い音を語れないようです。大変興味深い結果となりました。
精密導体102SSC撚り線:5.3kHz/12.55deg | 20kHz/37.8deg
HPC-28-2U V2:7.5kHz/12.55deg | 20kHz/29.3deg
4N純銀撚り線::4.7kHz/12.55deg | 20kHz/41.8deg
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他にも屈曲性と耐久性を活かして「ウェアラブルデバイス」等にも活用できそうです。最近流行りの「スマホ対応手袋」のように、繊維と電線を織り合わせることもできると思います。もし面白い使い方を思いついたら教えてくださいね!
以上、原田でした。
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