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2023年10月23日月曜日

塗金? メッキ? めっき?

こんにちは、そしてはじめまして。鈴木と申します。

今年も秋を感じる暇もなく、気づけば肌寒い季節がやって参りました。

私はオヤイデに入社してから早1年になるのですが、まだまだ勉強不足。未だに分からないことだらけです。

そんな私は普段、お馴染みの秋葉原直営店ではなく本社におりまして、お店にも業務上たまーに顔を出すのですが、そんな時に偶然お客様に聞かれたことがあります。


「センサーに使う圧着端子を探してるんですけど、端子のメッキによってセンサーの精度って変るんですかね?」



メッキというと、身の回りではスマホの充電器の端子やイヤホンのプラグなんかで金メッキや錫メッキ、ニッケルメッキなどをよく見かけると思います。

産業用の圧着端子では錫メッキ、オーディオや模型では金メッキなどがよく使われていますね。

実際の所、メッキの種類によっても使われている金属が変わるので、電気抵抗が異なることによりセンサーの精度も変わってくる可能性は高いと思います。

センサーは専門外なので、どこまで変わるかについてはお試しいただくしかないのですが・・・


そんな接客を終えた後、ふと思ったことがありまして、

「そもそもメッキってなんぞや?」

これまであまり深く考えたことはなかったので、金属の腐食対策、くらいの印象しか持っていませんでした。


●「めっき」とは?



Wikipedia大先生によると、「表面処理の一種で、金属または非金属の材料の表面に金属の薄膜を被覆することの総称」。
ちなみに「メッキ」とカタカナで書かれることが多いので外来語だと思われることも多いのですが、なんと日本語です。

元々は「塗金(ときん)」と呼ばれていましたが、時代や技術の変化から「滅金(めっきん)」→「鍍金(めっき)」と呼び方が変わり、鍍の字が常用漢字でないことから、JISや表面技術協会では「めっき」と平仮名で表記されるようになったそうです。

つまり、正しくは「めっき」なんですね。

ちなみに英語では「plating」となります。

その歴史は意外にも古く、紀元前1500年前、メソポタミア文明の時代から存在しており、当時の鉄器や装飾品の耐食性や装飾性を向上させるために錫めっきが使われたとか。
我々が住む日本が紀元前660年から存在しているので、めっきの歴史は日本よりも1000歳近くも年上ってことですね。

個人的には比較的新しい技術だと思っていたので驚きのポイントでした。

で、それから大仏への金めっきや電気めっきの発明等を経て、現代の機能めっきへと繋がっていくわけですね。

●現代のめっき技術

現代のめっき技術は知っての通り、装飾や腐食に対するものだけではありません。
めっきの種類によって、電気的特性や熱伝導性、光反射性から抗菌性、燃焼性まで様々な機能があります。

その中でも今回注目したいのは、電気的特性の一つである「電気伝導性」!

電線やコネクタにとって最も重要な金属の機能性の一つでして、伝導率が高い物ほど信号ロスが少なく良いともいわれています。

では、産業用やオーディオ用でよく使われる金属の伝導率を高い方から見ていきましょう。

株式会社NDTアドヴァンス様のホームページを引用 https://www.ndtadvance.com/eddy-current/point/table-material-resistivity-conductivity.html

一般的な金属では上記の表のようになり、銀>銅>金>ニッケル>錫の順番で伝導率が上がります。
ということは、全てのめっきを高伝導率の銀にしてあげればロスが無くなって最高ですね! 

・・・

っていう簡単な話ではないんです・・・
というのも、それぞれの金属にはメリットもあればデメリットもあるのです。

例えば銀めっき
「高い伝導率や美しい外観」といったメリットあるものの、「空気中の硫黄と反応して黒く変色してしまう(変色すると電気抵抗が高くなる)、また比較的高価」というデメリットがあります。

直接空気に触れないシースに守られた電線へのめっきであれば最大限に性能を発揮できますが、大量に消費される産業用の裸圧着端子などには、あまり向かないということですね・・・


では次に伝導率が高い銅めっきはどうなのか。
これも銀と同様、金属の酸化による変色が厄介者となります。

銅は酸性に弱いため、水や空気に含まれる酸素と反応し、酸化銅被膜を生成してしまうんですね。10円玉で例えれば、新品のキラキラしていた状態と色がくすんで黒くなったものを想像できるかと思います。
これがまた電気抵抗を高める原因となるのです。

定期的に研磨をしてピカピカにしてあげれば伝導率を維持できますが、大量の裸圧着端子を定期的に磨くわけにもいきません。

そこで出てくるのが「金、ニッケル、錫」の三銃士。


これらのメッキの最大のメリットが、ずばり「優れた耐食性」「優れたはんだ濡れ性」です。
時間経過によって比較的伝導率が変わりずらく、作業もしやすい。とても大切なポイントですね。

オヤイデ電気で在庫している裸圧着端子に関しては、一般的に普及している錫めっきのタイプはもちろん、比較的高価ですが錫やニッケルより伝導率が高く、オーディオ用電源ケーブルの自作にも推奨している金めっきを施したタイプなどがあります・・・

そうです。なんと裸圧着端子にも金めっきがあるのです!



現在在庫しているのは、主にオーディオ用で使われてる5.5Y-4相当、1.25Y-5相当や一部の丸端子のみですが、その他のサイズや形状に関しても製作が可能でございます。
ある程度のロットと納期、金めっき加工の工賃は必要になりますが、ご要望のサイズがあればお見積もりさせていただきます!

伝導率の高い圧着端子をお探しのお客様。ぜひこの機会にお問合せください!

そして、これからのめっきの進化にもこうご期待。

鈴木でした。



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