夏休みはやっぱり短い、あと1週間ぐらい欲しい…
そんなことを考えながら先週地元から戻ってきました、本多です。豚骨ラーメンが食べたい。
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前回のサンデンでフッ素樹脂の電線について電線屋目線で色々と書かせて頂きました。
この感じで色々と他の素材も紹介できそうですので、今回は「ポリエチレン系樹脂」の被覆についてお話してみようと思います。樹脂シリーズ。
個人的に好きな被覆材です。それでは行ってみましょう!
~ポリエチレン系樹脂について~
ポリエチレン(PE)はプラスチックの一種で、世界で一番作られている合成樹脂のことです。
絶縁性が高く、比較的柔らかい部類の樹脂だそうで、電線の被覆に使われるのはそれらも理由のひとつなのかなと推測します。
逆に硬めのポリプロピレン(PP)などもよくきく素材の名前かなと思います。◯印◯品のケースなんかはPPが多いですね。
さて、電線の被覆の話に戻りまして、オヤイデ電気で実際に扱っている電線を見ていこうと思います。確認したところそんなに数は多くないですが、やはり素材的な使いやすさからよく見る名前が並んでいました。
・BX-S:架橋ポリエチレン
出たー!いつも言ってますがみんな大好きBX-S!
古河電工のBX-Sはポリエチレンを照射架橋させた耐熱電線です。
豊富なサイズと色展開で電子機器の内部配線などに広く使用されています。
ん?でもポリエチレンはポリエチレンですが「架橋」ってワードがひっついてますね。
~架橋とは~
簡単に言えば読んで字のごとく橋を架けること。
化学の世界では高分子同士が化学結合で結ばれる化学反応のことを指します。
分子間で橋を掛けたように結合することによって樹脂自体の特性を変化させ、機会的特性や耐久性を向上させる効果があります。
つまりは強化型ポリエチレン、ってことですね!
この架橋度合いで柔軟性を出したり耐熱性を上げたり、色々と調整ができるようですね。
個人的には何と言っても被覆の丈夫さが売りだと思います。
はんだごてを当て続けても全然溶けません。320℃のはんだ槽に1分浸しても融解しないほどの熱耐性を謳っています。(※電線としての定格は90℃です。)
実際のところ400℃くらいに設定したはんだごてを当ててもちょっとやそっとじゃ解けないです。
これは電子工作を行う人達にとって、作業性を考える上でとても大事なポイントだと思います。
丈夫な被覆を持っていますが、普通のビニール電線と同じように扱えるくらい取り回しが良いのもポイントですね。
また、前述しました通り色数やサイズ展開も豊富!
標準10色の色展開に加え、メーカーカタログを覗いてみるとサイズはなんと13種類もあります!
ちなみに、オヤイデ電気で在庫しているのは0.08sq~2.0sqまでの間で7種。
実際は0.035sqなんていう細いサイズから、1.4sqなんていう巷であまり見かけないようなサイズまでラインナップしているみたいです。
いろんな需要があるので、そこに向けて対応している感じなんでしょうね。
更に、一口にビーメックスと言っても色々と種類があります。
難燃性を持った「ビーメックス-NF」、難燃な上に燃やしても煙が出ない「ビーメックス-NFS」、耐熱温度が125℃までパワーアップした「ビーメックス-ER470 R」、さらに耐熱温度が150℃まで上がった「ビーメックス-ER500」。
そしてそれらに加えて耐圧が600Vもある「600V ビーメックス」シリーズなども存在しています。
正直実物を見たことがないんですが、600Vのビーメックスは普通に需要がありそうですね。600Vですと外径が太くなりそうですが。
(データで比較すると、通常の0.75sqで外径2.14mmに対し、600V ビーメックス-NFの方は2.74mmあります。普通の1.25sqが2.67mmですので、単純にワンサイズ上の外径サイズになると考えてもらえると良いのかなと思います。)
最近はロットの関係で、サイズによっては切り売りでの常時在庫ができなくなっている色もありますが、私が電線屋で働き始める前にも後にも売れ筋の架橋ポリ電線であることに違いはありません!Love BX-S!
・UL3239 柔軟高圧線シリーズ:架橋難燃ポリエチレン
産業帯からもう一種類。住友電工製の柔軟性高圧電線です。
ピンクと白が可愛らしい電線ですね。
比較的近年になってからの取扱品ですが、10KV以上の高耐圧に加え、UL規格電線というハイスペック具合から、コチラも売れ筋と言っても過言ではない電線です。
サイズはAWG22(≒0.3sq)のみですが、ワンサイズ下のAWG24も作れるようです。
また、在庫品は10kVと20kVのみですが、他にも3kVや6kVもあるようですので、ロットはかなりデカイとは思いますが、ご入用の際はお見積もりから是非ご相談下さい。
・オヤイデ3398シリーズ:XLPE
最後は自社製品から!102SSC導体を採用した機器用内部配線材です。
オヤイデ電気のオリジナル電線にも実はポリエチレン系の被覆が採用されています!
~XLPEとは~
"Cross Linked Polyethylene"の略称でして、ポリエチレンを架橋し分子構造を網目構造した素材です。
お、架橋しているということは、つまりはこれも架橋ポリってことですね!
ビーメックスと比べると同じ架橋ポリでも3398シリーズのほうが若干柔らかいように感じます。
コチラは定格で300V耐圧に対応してますので、機器の電源周りなどにもお使いいただけます。もちろんはんだごての熱にも強いので作業性も抜群です!
サイズは元々#22、#18、#16の3種(各白黒2色)だけでしたが、#18の赤が増え、#14(黒のみ)が加わり、気付いたら#24(白、黒)が仲間入りして、色数は流石に勝てませんが、ビーメックスに近いサイズ展開にいつの間にかなっていました。
他にもツイストされた3398-16TW、四つ編みされた3398-22 2対4編組ケーブルや8本で編まれた3398-22 4対8芯ケーブルなど、亜種も存在しています。
性能は変わりますが、1芯シールドの3398-SYも中心導体の絶縁体はXLPEですので、はんだ付けしやすいですね。(※アウターシースはPVCで熱に弱いのでご注意下さい。)
また、3398シリーズは弊社の様々な製品の素材として採用されていますので、お手に取られたことがある方も多いかもしれませんね。
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はい、というわけで今回はポリエチレン被覆の電線、もとい架橋ポリ電線を紹介してみました。
とりあえず内部配線で迷ったら架橋ポリ!
耐圧とか耐熱とかの条件で躓いたらフッ素などの別の樹脂!
これだけ覚えておいて頂けると、この記事を読んでいるあなたの電線ライフが少し豊かになると思います、たぶん!
この流れで行くと次はシリコン辺りかな?はたまた別の素材を探し当ててくるのか…
それではまた次回、本多でした。
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