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2016年9月12日月曜日

産業ケーブルの破損と寿命


週末、iphoneの充電コードがおしゃかになりました。

電線の変え時とはいつでしょう?

身近にあるケータイ・スマホの充電コードやイヤホンなどは断線による接触不良で使い物にならなくなったら買い替えますね。


また楽器やオーディオのケーブルは音そのものが変わるので、音の趣味趣向で変える事もありますね。→「え?ケーブルで音が変わる?? んーなわけ無いでしょう!!」



では産業用の電線はというと、地中に埋めたケーブルや屋内の見えない部分に配線されたケーブル、工場内の機器配線など、施工されてから何十年も使われ続けるケースがたくさんあります。

なら変えなくてもよいのかというと答えはNOです。
今回はそんな産業ケーブルの破損と寿命についてです。



オヤイデの場合、「オーディオ・ポータブルオーディオ・楽器・機材」以外をまとめて「産業電線」と呼称しているので、それらの使用用途は想像も及ばないほどたくさんあると思いますが、どんな電線でも使えなくなるケースは大まかに破損寿命が考えられます。(※製品不良は除きます。)


①強い力で引っ張られた、踏まれたなどの外的な要因による破損、断線
冒頭の身近なコードの例にもあるように、工場や現場などで使われるケーブルでも外的要因による破損は起こります。そのため、各電線製造メーカーは「引っ張り強度」「耐油性」などの検査をして数値を公表している事が多いです。

弊社RSCB(製造名称RSF)の仕様書より抜粋。抗張力伸び率について記載されています。

こちらは富士電線の2PNCT仕様書より抜粋。耐油性についても記載があります。
製品や材質によっては 耐荷重耐候性耐寒性耐水性 などの情報も公表されています。
基本的にはこれらの情報や経験などを踏まえ現場の方々が安全性を判断し、その範囲内で使用されていることと推察します。
また後述の「寿命」とも重なりますが、曲げた角度が急だったり屈曲回数が多すぎたりしても断線に繋がります。
これらの対策としてスパイラルチューブでケーブルを保護したり、ケーブルダクトやモールを設置するなどの衝撃対策、曲げ半径(Rと呼ばれます)を緩やかにする、コネクターの付け根にスリーブをかぶせるなどの工夫が挙げられます。




②ケーブルの寿命による絶縁不良により発火、破損
こちらはいわゆる経年劣化と呼ばれるものです。一般社団法人日本電線工業会の技術資料に電線・ケーブルの耐用年数の目安があります。(古河電工が作成している「電線・ケーブルの耐用年数について」というPDF資料がオンラインで確認できます。)




工事などに使われる電線は上記のように大まかな耐用年数が想定されており、各メーカーもこれらに沿った案内をしています。
交換時期の具体例としては、ビルのメンテナンスの一環として電気管理技術者が行う「自家用電気工作物 定期点検試験」の点検報告書に以下のような記載があります。

高圧引き込みケーブル
受電用   CVT38mm2
重量ほか   35m
使用年数/耐用年数     15/20
 (※記載例)

マンション管理にご興味のあるかたはこちらをどうぞ。

このように電気管理技術者が「耐用年数は問題なし」と報告しているうちは大丈夫ですが、中には耐用年数を超えても使用されて続けているケースもあります。
法律的にどうこうという訳ではなく、耐用年数を超えたらすぐ使えなくなる訳でもないためそのまま何年も古いケーブルが使われ続けてしまうのですが、あまりにも古すぎるケーブルは発火事故や断線事故が起こる前に交換したほうが良いでしょう。

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・買い替えについて

産業用電線にも変え時があると分かったところで、では実際にどう買い替えるのか?

『同じ製品』
やはり今まで使っていた物なので安心感がありですね。また、同一製品の現行品は過去の課題に対処してアップグレードされているケースもあります。
ひとつ例を挙げると、CV(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル) には外見上異常が見られなくても、内部で「水トリー」と呼ばれる絶縁破壊現象が生じることがあります。


引用元:関東電気保安協会HP「高圧ケーブルの水トリー現象」





水トリーは1980年初期以上前に製造されたような古いCVケーブルに起こりやすい現象でしたが、現在のCVケーブルは三重同時押出により絶縁体の界面突起を減少させる加工技術が確立し、水トリーの発生はほぼ克服されているようです。
しかし電気管理技術者の方と話す機会があり本件について伺ったところ「30年以上前のケーブルはまだまだあちこちで使われていますよ」とのことでした。

なお、電力用CVケーブルに生じるトリー現象は水トリー以外にも、部分放電(コロナ放電)により絶縁体が浸食される「電気トリー」と、油や薬品などで化学的分解が起こり硫化物が導体の銅と反応して絶縁体中に硫化銅のトリーが発生する「化学トリー」があります。

この辺りの詳細は下記サイトで詳しく説明されています。
公益社団法人日本電気技術者協会「電力用CVケーブルの絶縁劣化原因と絶縁性能評価方法」



『同性能で負荷の少ない製品』

分かりやすい例では三ツ星の2CT→SL-2CT(スタースリムライト)ですね。
(過去のサンデン記事はこちら
 
同じスペックながら軽量化されることで取り回しが良くなり、曲げ半径も緩やかになることでケーブルへの負荷が少なくなります。尚、三ツ星のSL-2CTのように、技術革新が行われると新商品が主力となり、従来品は廃盤となるケースもしばしば見られます。


『高性能で負荷の少ない製品』

上記と似ていますが、これは許容電流や耐熱などで余裕を持って使用できる製品を選ぶということです。特に許容電流は使用環境(距離、周囲温度)で変わってくるため、コスト削減のために下手に低スペックな電線を使い続けていると負担は大きくなり安全性や耐久性は損なわれます。




ここまで取り上げた話題は建設や工事で使用されるケーブルが主体なので、大半の方々には縁遠い話に感じるかもしれませんが、例えばご家庭に昔からある昭和製の家電や、まったく使っていなくて錆びてしまった機器などにも共通する話題だと思います。


公私問わず、古びた電線を買い替える、またその際に「この線が何なのかわからない」というときは気軽にオヤイデにお問い合わせください。

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最後に、たとえ安全な範疇で使用していても、突然の台風や地震、(はたまた巨大不明生物の襲来)など予期せぬ影響で電線が破損することもあります。
中でも屋外に施工されている電柱と電線は災害時に倒れて道を塞いだり、切断されて垂れ下がるなど事故の危険となったり、消防車や救急車が駆けつける際の妨げにもなってしまいます。

こういった災害時の対策として、現在電線地中化が推進されています。

弊社スタッフが伊勢神宮に観光に行ったときの写真です。昔ながらの景観が守られています。
電線地中化とは街中にあふれている電柱や送電線を地中に埋設することで「街の景観を良くする」「通行空間を快適にする」といった日常的な面以外にも、「災害時に電柱が倒れたり、電線が垂れ下がったりすることを防ぎ、防災性の向上」といった効果も目的とするものです。→国土交通省HP「無電柱化はなぜ必要?」

昔ながらの家屋が立ち並ぶ観光地や都心の大通りなどでは既に無電柱化されている箇所も多々あります。
オヤイデ電気店舗の前から見える秋葉原駅前の風景。NO電線。

この「無電柱化」についてはメリットとデメリット両方あって様々な議論が飛び交ってるようですが、どうやら今夏に就任した小池百合子都知事が意欲的らしいです。
今後は2020年の東京オリンピックに向けて、または首都直下型地震に備えるために無電柱化推進の動きが活発になるかもしれませんね。




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 E-mail:webshop@oyaide.com 

齋藤でした

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