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2019年7月29日月曜日

RoHS2についての初歩の初歩

先週7月22日からRoHSの規制物質が6物質から10物質へ変更となりました。(※1)(※2)
製造業に関わらない方々にはあまりピンとこない話題だと思いますが、電気・電子機器関係の製造や販売の現場では重大なトピックのひとつです。
オヤイデでも産業分野の製品について「RoHS適合の有無」の問い合わせや「RoHS証明書の発行」を依頼されるお客様が多いため、我々にとっても旬な話題のひとつです。

今回はそんなRoHS、具体的には『RoHS 2』について一問一答形式で解説します。

(※1) 4物質が増えることは数年前から決定していましたが、先週7/22から本格的に規制開始となりました
(※2) 医療機器、監視・制御機器に関する規制は2021年7月22日から




●RoHS(ローズ)って何?

The Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment
(電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州議会及び理事会指令)の略称です。
ざっくり言えばEUによって定められた特定有害物質の使用制限です。「埋立て処分や焼却したときに、ヒトや環境に有害な物質が生じる」などが制限する理由となります。

ちなみに「RoHS指令」「RoHS適合」「RoHS証明」など媒体によって表現がブレますが、「RoHS指令による特定有害物質の使用制限に適合しているかどうかの証明」と言う意味ではどの言い回しでも意味は通じます。

●RoHSとRoHS2って何が違うの?

規制対象となる物質の数が異なります。
2002年の最初のRoHSで規制されたのは

① 鉛
② 水銀
③ カドミウム
④ 6価クロム
⑤ PBB(ポリ臭化ビフェニル)
⑥ PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)

以上の6物質でしたが、2015年の改正で新たに

⑦ フタル酸ビス(DEHP)
⑧ フタル酸ジブチル(DBP)
⑨ フタル酸ブチルベンジル(BBP)
⑩ フタル酸ジイソブチル(DIBP)

以上の4物質が規制対象に追加されました。
これらを区別するために前者を「RoHS1」、後者を「RoHS2」と呼び分けています。尚、媒体によって「旧RoHS」「改正RoHS」といった表記も見られますが、一般的な通称として「RoHS1」「RoHS2」の方が定着している印象です。

●今はどの製品もRoHS1からRoHS2に切り替わってるの?

ぶっちゃけ微妙です。
大体のメーカー(および該当製品)の現行品はRoHS2適合に切り替わっていますが、RoHS2になる前に造られた製品が今も市場に出回っているため「ある時期まではRoHS1適合、20XX年XX月製造分よりRoHS2適合」のように製造時期で分けるケースがほとんどです。また製造頻度の低い製品だと「次回製造分からRoHS2適合品だけど、まだ古い在庫があるから当分は切り替わらない」というケースもあります。

ちなみに端子メーカーのニチフでは製造時期の混在に対してロゴマークを4種類に分けて判別できるよう対応しています。
ニチフHPより


●RoHSに適合していないとどうなるの?

海外への輸出や販売に制限がかかります。
RoHSはあくまでもEU内の使用制限なので日本国内で使用できない訳ではありませんが、近年は国産メーカーであっても海外市場を視野に入れてモノづくりをするため、必然的にRoHSに適合している事が望まれます。

●該当する物質が含まれていたらなんでもかんでも輸出NGなの?

いいえ、規制開始時期の問題や、そもそもRoHSが適用されないケースがあります。例えば冒頭でも触れた「医療機器」「監視・制御機器」に関しての規制は2021年7月22日からのため現時点では輸出も可能です。またRoHSは電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限のため、電気を伴わない製品には適用されません。ここで言う「電気電子機器」は具体的に下記11項目になります。

 1  大型家庭用電気製品(冷蔵庫、洗濯機など)
 2  小型家庭用電気製品(掃除機、アイロンなど)
 3  ITおよび遠隔通信機器(パソコン、プリンターなど)
 4  民生用機器(テレビ、楽器など)
 5  照明装置
 6  電動工具
 7  玩具、レジャー、スポーツ機器
 8  医療機器
 9  監視および制御機器(煙感知器、測定機器など)
10 自動販売機(飲料用、ATMなど)
11 上記カテゴリーに入らないその他の電気電子機器

ただし「軍事用途」、「宇宙開発関連」、「大型の固定設備」、船や飛行機やフォークリフト等の「人や貨物を運搬する移動機器」など、一部の用途に関してはRoHSが適用されない例外扱いとなっています。

●RoHS適合かどうかはどのように確認するの?

製品のカタログや販売ページ、製品ラベルなどに記載されています。



海外への出荷の際など証明書が必要な場合はメーカーから発行されている証明書を手配することができます。概ねPDF化された書面データをメールに添付して受け渡すことが多いです。ご入用の際は是非お申しつけください。

●含有物質調査とRoHS証明って一緒?

数ある含有物質調査のひとつがRoHSです。
環境物質に関する枠組みはRoHSだけではなく、REACH規制やchemSHERPA(ケムシェルパ)など国内外に複数存在します。それらをひっくるめて「含有物質調査」と呼ぶため、ご依頼の際は具体的な調査内容を事前にご確認いただけるとスムーズです。特に指定がない場合はRoHS証明書を提出する形で対応する事も多いです。




以上、大まかな解説でした。RoHS以外にも安全データシート(SDS)などの資料請求や仕様に関するご質問なども気軽にお問い合わせください。


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齋藤でした

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