2026年9月30日水曜日

🎸ギターシールドは何でもいい?電線屋が考える5つの選び方


「🎸ギターシールドは何でもいい」
そんなことを思った経験はありませんか?
でも、よく考えてみると、実は何でもよくない。

実際には「何でもいい」と言いながらも、

少し高くても丈夫なものを選んだり、
柔らかくて扱いやすいものを選んだり、
安心感のあるメーカーを選んだりすることはないでしょうか?


じゃあ「何でもいい」ってどういうこと?😕


今回はギターシールドのデファクトスタンダード「CANARE(カナレ) GS-6」を参考に、電線・ケーブルを扱う立場からギターケーブルの構造や電気的特性について解説します。

CANARE GS-6の特徴

CANARE GS-6
https://shop.oyaide.com/products/gs6.html
●耐久性
CANARE製品を紹介する上で欠かせない特徴が「耐久性」です。

耐久性は単純に頑丈な素材を使えば実現できるものではありません。
特に導体やシールドに使用している「銅線」は、どの電線でも使用している「銅」そのもので、GS-6の銅が強いなんてことは有り得ないわけです。

では、なぜ耐久性が高いのか?
耐久性とは電線の構造や各部材の組み合わせそのものです。単純に「この部材を使っているから耐久性が高い」とは言い切れません。

CANARE公式では「中心導体をφ0.1mmのOFC細線127本で構成し、耐久性を向上させている」と説明されています。
電線屋の視点から見ると、耐久性はこの導体だけで決まるものではありません。

基本的には「導体構成」「絶縁体」「シールド構成」などが相互に作用することで耐久性が確保されているため、GS-6の構造そのものが高い耐久性を持っていると言えます。

CANARE公式で紹介されている編組シールドの耐久性
同じ編組シールド構成で作れば、必ずしも同じ耐久性が得られるわけではありません。
ソース元:https://www.canare.co.jp/products/cables/index.php?tid=4_016

●取り回しの良さ
CANARE製品全般に言える特徴として「取り回しの良さ」が挙げられます。

取り回しを左右する要素としては
  • 柔らかさ:柔らかすぎると、電線がふにゃふにゃで扱いにくい。
  • 絡まりづらさ:柔らかすぎても絡まりやすい。電線に曲げ癖があっても困る
  • 手触り・質感:表面がベタベタしたり、摩擦が強くて滑りにくかったら取り回しにくい。
などがあります。

主に「絶縁体の品質」や「可塑剤」が影響していますが、導体やシールドなど金属部分も大きく関係していることがあります。

CANARE公式では「外部導体は Φ0.1mm OFC細線による編組構造で、屈曲性能に優れている」と説明されています。
この言葉の意味合いとしては「細い線を使ってるから硬くならないようにしてる=屈曲性能を上げているよ」という主観的なものだと思います。

GS-6はこれらのバランスが良く、取り回しやすさにおいてストレスを感じにくいケーブルです。
ギターシールドは動きのある中で使用するものなので、この取り回しやすさも定番として選ばれる理由のひとつと言えるでしょう。

●安心感のあるメーカー
CANARE GS-6は発売から40年以上が経過した現在も、世界中のさまざまな現場で使用されています。
長年にわたり安定した品質を供給してきたメーカーだからこそ、そこから得られる安心感は何物にも代えがたいものです。

オヤイデ電気は日々、さまざまな電線を扱っています。
同じ型番の電線を長年扱っていると、ロットによる微妙な違いや、メーカーによる品質管理の違いを感じることがあります。
完全なNG案件だとこんなこととか、こんなこととか、こんなこともありました。。。

そういった問題が起きにくい、信頼性の高い品質管理もCANARE製品の魅力だと思います!

CANARE GS-6は完璧なのか?

ここまで見ると非の打ち所がないように思えますが、現代では若干気になる部分もあります。

●音質面
GS-6は静電容量160pF/mと、現代のギターシールドの中では比較的高い容量を持っています。

ケーブルの静電容量が大きくなると、ケーブルの使用長が長くなるにつれて高域のロールオフが顕著になり、ピックアップとケーブルによって形成される共振点が低い周波数へ移動します。

その結果、高域の出方や共振ピークの位置が変化し、音の明るさや輪郭の感じ方にも違いが生まれます。

ハイインピーダンス伝送路におけるケーブル特性
※画像をクリックで拡大できます

昨今ではアンプキャプチャー技術やアンプシミュレーターの性能が飛躍的に向上したこともあり、ギターシールドの特性が顕著に出てくる場合もあります。
例えば、モダンな歪みやクリアな音色を求める場合、静電容量の低いケーブルを選んだ方が好みの音質に近づけられる可能性があります。
※静電容量が高いケーブルを使った場合、具体的には「中音域の癖が残りやすい」「必要以上に高域をブーストする音作りをしてしまう」「ケーブルを変えた時の差が大きくなる」等の状況が想定されます。

GS-6は低容量タイプと比較すると、聴感上高域の伸びやレンジが狭く感じる場合があります。ただし、これも一概に欠点とは言えません。こうした特性を含めて、昔ながらのギターサウンドを好む人にとっては、むしろ「GS-6の魅力」になる場合もあります。

画像をクリックで拡大できます。

実際の音質は「プラグ」「ハンダ」の組み合わせに加え、「エレキギター内部の回路」「アンプのインピーダンス」なども影響しますから、意外と単純な話ではありません…

例えばモガミ2524もデファクトスタンダードの1つですが、現代のトレンドに対応する低容量タイプとして新製品「モガミ3368(70pF/m)」が登場しています。CANAREからも低容量タイプが出たら、、、個人的にはめっちゃ嬉しい!

●見た目
最近は様々な見た目のケーブルが登場しています。「何でもいい」なら、なおさら見た目には拘りたい方も多いのではないでしょうか?
GS-6は全6色のラインナップがありますが、市場にはもっと選択肢があります。メッシュチューブや半透明なシース、布巻、カールコードなど、見た目に拘るとさらに選択肢は広がります。

「何でもいい」の正体とは?!


つまりは、これらの要素を取捨選択した結果だと思います。

これらを全て気にせず「音が鳴ればいい」という人だったら、本当に何でもいいのかもしれません。
しかし、まったく気にしない人は少ないのではないでしょうか。

つまり、大切なのは「何でもよくない理由」に目を向けることなんですね。👏
電線にはそれぞれ一長一短がありますので、自分にとって大切な要素を理解していくことが、より有意義なケーブル選びに繋がることでしょう。

ギターシールド選びに「正解」があるわけではありません。
「何でもいい」じゃなくて「これがいい」
電線屋としては、そうやってギターシールドを選んでもらえると嬉しいですね。



ちなみに、今回の要素には「価格」をあえて入れていません。
今までの話を踏まえると、単純に「価格が安いからお買い得」とは言い切れないからです。
「自分にとってどれだけ価値があるか」を考えたとき、初めて「費用対効果」が見えてくるのではないでしょうか。


以上、「Ecstasy Cableもよろしく」と、こっそり伝えておきたい、Ecstasy Cable開発者の原田でした。


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