2021年10月12日火曜日

【DIY講座】≪USB Type-C ケーブル≫を自作する!【USB2.0用】

USB Type-Cケーブルも自作したい!


「OTGって何?」
「プルアップ抵抗って?」
「ただハンダ付けすれば良いわけじゃないの?」

そんな疑問もサヨナラ!これでUSB Type-Cケーブル(USB2.0用)も自作できるようになります!

オーディオ用USBケーブル「ソリッドオーグラインUSBデジタルケーブル」を使いますよ!


もし「他のUSB端子も自作したい!」という方は、併せて下記ブログをご参照ください。
【DIY講座】<<USB-Aコネクタ編>>
【DIY講座】<<USB-Bコネクタ編>>
【DIY講座】<<USB-MicroBコネクタ編>>



今回使うUSBケーブルはこちら!


武藤製作所 ソリッドオーグラインUSBデジタルケーブル
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オーディオ用USBケーブルとして好評いただいている「ソリッドオーグラインUSBデジタルケーブル」を使用します!こちらはオヤイデ電気特注の特別仕様です!

(オーディオ用で作らない方は下記のケーブルでも製作可能です。)
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自作用USB-Cコネクタ ¥240/個
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当ブログでは【CtoC OTG仕様】で製作します。

USB-Cコネクタは下記の組み合わせとなります。
【親機】USB-C(OTG接続用5.1kΩ) - 【子機】USB-C(通常用56kΩ)

【大事】通常タイプとOTGタイプでは、内部抵抗が異なります。

”USB On-The-Go”とは?

USB On-The-Go(略してUSB OTG)は、USB機器同士を直接接続するインタフェース規格のこと。OTG接続を行えば下記のような組み合わせも可能になります。
  • 「OTG対応DAC/アンプとAndroid端末」
  • 「Android端末とマウスやキーボード」
  • 「Android端末と外付けSSDや外付けHDD」
  • 「デジカメとプリンター」等
本来パソコンを介して接続する機器を直接駆動させることが出来る為、USB-C機器の拡張性を向上させます。

”通常(56kΩ)とOTG(5.1kΩ)の違いは何?

USB-C端子をUSB2.0規格で通信する場合、USB CtoC以外の組み合わせは「USB Type-Cレガシーケーブル」という扱いとなります。通常のUSBレガシーケーブルは両端異なる形状のコネクタタイプを使用していますので方向性を誤ることはないのですが、USB-Cの場合は内部抵抗値を参照して伝送方向を管理します。

具体的には「接続方法に応じてプルアップ抵抗・プルダウン抵抗をGNDと接続すること」が規定されています。コンシューマーにとっては分かりにくい仕様ではありますが、世の中にはDRP(Dual Roll Port)が搭載された機器が多く存在しているので、大概は方向を気にせずとも問題なく動作するようになっています。

【参考URL】
@IT(ITmedia様) 【USB】第5回 既存のUSBコネクターの問題を解消する新規格「USB Type-C」とは


【その他、接続例】


CtoC接続の場合
USB-C(通常用56kΩ) - USB-C(通常用56kΩ)

AtoC接続の場合
USB-A - USB-C(通常用56kΩ)

CtoB接続の場合
USB-C(OTG接続用5.1kΩ) - USB-B / MiniB / MicroB

充電用USB-Cケーブル
USB-C(通常用56kΩもしくは5.1kΩ) - 任意のUSBコネクタ(USB-Cは通常用)

【参考URL】
・USB Type-C Cable and Connector Specification

1:ケーブルの構造解説・剥き出し作業


ケ―ブルの被覆を約15mm剥く。

被覆を剥くと編組シールド+アルミテープが出てきます。ノイズ耐性抜群です。


編組シールドをほどきます。すると中から「ドレンワイヤー」が出てくるので探し出してください。
ドレンワイヤーとはアルミテープと編組シールドを導通させる為の線になります。
ドレンワイヤー以外の編組シールドを切り落とします。ハンダ付けスペースが狭い為、作業性を考慮してドレンワイヤーのみ処理します。
アルミテープを剥きます。このが「電源線」になります。
紫のアルミテープを剥くと、の「信号線」と、ドレンワイヤーが出てきます。


ドレンワイヤー2本を撚り合わせます。最後にシャーシグラウンドと導通させ、シールド効果を発揮させます。
ここまできたら準備完了!合計5本の線を使ってUSBケーブルを作ります。


2:USBコネクタの半田付け

※通常タイプとOTGタイプの作り方手順は一緒です。

USB-Cコネクタの内部。全部で4つのパーツで構成されています。
【USB-Cの結線図】
1 :V(+5V) →
2 :D- →
3 :D+ →
4 :G(GND) →
※表・裏の「V」「G」は繋がっています。
※画像をクリックで拡大できます。
通常タイプとOTGタイプは黒印の有無で判別します。どちらも製作手順は同様です。
※もし黒印が消えてしまった場合、チップ抵抗の値を計測して判別します。
まず製作を始める前に、「オーグラインUSBケーブル」を使用する場合、ほんの少しだけケーブル穴口径が小さいです。カッターやハサミで少し削るだけで使えるようになります。
なおコードブッシュは使用しません。
ケーブルにカバーを通しておきます。
本来ここで予備ハンダを乗せますが、こちらの基板には予備ハンダが乗っています。もし予備ハンダ量が少なかったら足してください。
結線図通りにハンダ付けを行います。
電線の剥き出し長は約2~3mm。ハンダ付け面と剥き出し長が同じ長さになるようにしてください。

※本体ブッシュはハンダ付け後に挿入してください。
USB-C端子を裏返して、シールド線をGND面にハンダ付けします。
シールド線はほつれないよう予備ハンダを行い、ハンダを浸透させておいてください。

※今回は基板側にも追い予備ハンダをしています。
シールド線がGND面にハンダ付けできました。
表にある4本の剥き出し長が長すぎると、シールド線とショートしてしまう可能性がありますので、先述の通り剥き出し長は2~3mmが良いでしょう。
本体ブッシュをコネクタ前面から挿入します。
オーグラインUSBケーブルのシースに限り、軽く被覆をしごくとシースが少し伸びます。基板側にシースを引っ張り、内部電線を保護することで、断線リスクを抑えることができます。

接着剤やホットボンドを使用し、内部を補強します。カシメ等による引張強度の強化が無いので、カバー+ホットボンドで一体化させて補強することをお勧めします。

カバーを締めれば完成
ちなみに見た目がチープなので、カバーを使用しないアレンジパターンも紹介!

耐久性を上げる為に接着剤付き収縮チューブ「ヘラマンタイトン HIS-9/3-
CL」を取り付けます。
収縮後はこんな感じ。
クリアで基板が見えて逆にカッコいい(?)仕上がりになりました。

※裏技ですが「5V-GND間」にチップLED+チップ抵抗を入れて光らせることもできますよ。ゲーミング用とかに良いかもですね。
中身を隠す時は最後に収縮チューブ「スミチューブFZ 10φ」で保護すれば・・・

完成!

OTG端子側を「PANDUIT 9.5mm収縮チューブ 赤」にして、方向性管理しやすくしました。



如何でしたか?基板がついているのでハンダ付けは視覚的に分かりやすかったかと思います。

USB-C(USB2.0用)を自作する場合、何より気を付けないといけないのは「USBレガシーケーブルを製作する時、プルアップ抵抗・プルダウン抵抗の必要性を確認する」という点です。
コチラより仕様をご確認の上、安全に製作を行ってくださいね!



 他のUSB-C自作例 


以上、原田でした~。


18 件のコメント:

  1. 済みません。質問宜しいでしょうか。
    CtoC OTG仕様を参考にホストに給電可能なOTGケーブルの作成を検討しており、VとGから電源用を引けば良いかと思っておりました。
    調べるとホストに給電するにはVG間に124k Ωの抵抗が必要との事で、VとGが短絡されているOTGタイプでは、給電は機能せず、通常タイプを使う必要がある認識で合ってますでしょうか。

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    1. 恐らくご質問にある内容は、USBケーブルの仕様とは関係の無い部分かと思われます。(ホストデバイス側の回路設計の話?)

      USB-Cコネクタに表記している抵抗値は、ケーブルの方向性を識別させるプルアップ抵抗・プルダウン抵抗を指します。USB規格上、プルアップ抵抗・プルダウン抵抗に124kΩを求める設計は存在しません。
      USB-Cの選択方法においてはホスト/デバイスの向き指定でしかありませんので、どちらのコネクタを選択するべきかは弊社で判断致しかねます。
      ただし方向性を強制させる意図がないのであれば、通常用(56kΩ)を使っておくことを推奨いたします。

      ちなみに本来デバイス側として使用している機器を、OTGを用いて強制的にホスト側として認識させたとしても、必ずしも電源が供給できるとは限りません。これは機器側の仕様に依存するもので、ケーブルの仕様とは無関係となります。(USB-Bから電源が供給できないのと同じ要領です)

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  2. ご回答ありがとうございます。
    USB-Cの選択方法においてはホスト/デバイスの向き指定でしかなく、(プルアップ/プルダウン)抵抗に依存する。
    給電に関してはケーブルの問題では無く
    機器に依存する旨理解しました。
    USBの仕様が難解で他サイトの情報でこうかな?と安易に考えてましたが、もう少し勉強してみます。

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    1. また専門的な話になってしまいますが、USB-C端末自体が電源を備えており、尚且つDRPに対応していれば、USB-Cコネクタから電源を引き出すことは可能だと思われます。これは設計の話になりますので、それをユーザーが知ることができる情報かというと、なかなか難しいと思います。
      なので、結局はやってみないと分からないというのが正直なところです。。

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  3. ありがとうございます。
    ユーザーが知り得る情報と言い難く、やってみないと判らないとの事、まさにその通りかと納得です。先ずはブレッドボードで試してみる事にします。

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  4. 質問させてください。androidをホストとして駆動するデバイスを作成しました。デバイス側はFT231を介してシリアル通信するだけの単純なものです。USB TypeCで接続しております。
    現在、デバイス上の判別用の抵抗を5.1kΩにしており通信は出来ております。

    このデバイスに、アンドロイドへの充電機能をつけ、シリアル通信もしつつ、充電もするには、この抵抗値を変更するだけでよいものでしょうか。
    ためしに56kに変更してみたところ通信ができなくなってしまいました。

    お手すきの際にご教示いただければ助かります。

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    1. 基本的に1本のケーブル内部で「ホスト/デバイスの関係性が逆」となる接続は不可能だと思われます。

      これは憶測上の話となりますが、、、
      USB-A/Bの時は二股ケーブルのような形であれば充電しながら外部デバイスを接続できていたので、USB-Cでも二股ケーブルにすれば実現できるかもしれません。
      この場合、充電用コネクタはUSB-Cコネクタ(56k)もしくはUSB-Aになりそうです。

      またデバイスとして認識させる順番も重要らしく、デバイス→充電の順に接続すると駆動するという話もあります。
      これはどちらかというと「2種類のデバイス(通信用/充電用)を別々に接続すること」になりますので、順番というより異なるデバイスとして認識させる必要があるのかなと思われます。

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  5. ありがとうございます!見た目を単品で実装するためにはUSBhubのような機能を持たせないといけないってことになりますね。
    その方向で検討を進めようと思います!

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  6. 単純なVバッテリーのDタップから15vのUSB‐C出力が取れるアダプターを作りたいのですが、それと入力が100wのLEDライトのコネクターがPD対応のUSB‐C入力なんですよ。付属のDC電源の修理に備えて部品とかストックしたいんです。実態を知らずに購入し修理が可能かを知りたいです。お願いします

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    1. USB-PD規格において、15V出力はMAX3Aまでと規定されているため、15VバッテリーのPD出力からは100W出力に対応していないと思われます。

      LEDライトのPD設計として、きっとマニュアルにもPD供給電力の条件が記載されているかと思いますので、その条件(電力)に対応したバッテリーや急速充電器を選択するようにしてください。(100Wだと20V5Aだと思います。)

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    2. 本体表示は20V5Aなんですが付属の電源アダプターは24V5Aで120Wです。VバッテリーのDタップは別にPD規格では無いんですが付属のDタップからUSB-C接続だと14.5Vで83Wぐらい流れるみたいです。実測でそうなのでUSB-PDの20V制御だと15v5Aまで流すのか?15Vでも耐圧として6Aぐらいまでは流せるのか自分でテストもしてみるので分かる人が答えてくれませんか?

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    3. LED本体にスルーなUSB-Cを安定化電源で繋げても電気が流れないが付属のものだと75%でつくんで同じレベルのパーツがほしいわけです。

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    4. 前述の通り、USB-PD規格において15V出力はMAX3Aまでと規定されているため、どのようなUSB PD対応急速充電器を使っても15V6Aを流すことはできません。もし電源入力側が15V6Aを要求した場合、USB PD側は強制シャットダウンを繰り返す挙動になるでしょう。

      VバッテリーがPD規格では無いとのことですが、規格外ですと詳しい仕様が分からないため弊社では判断いたしかねます。

      >実測でそうなのでUSB-PDの20V制御だと15v5Aまで流すのか?15Vでも耐圧として6Aぐらいまでは流せるのか自分でテストもしてみるので分かる人が答えてくれませんか?
      20V仕様のUSB-PDトリガーコネクタは上流側で制御しているため、デバイス側が15V仕様で設計されていても、15Vに降圧することはありません。

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  7. 質問させて頂きます
    当方あまり電気工作に詳しい方ではないので、ご了承下さい
    元々タイプAのケーブルが直付けされていたキーボードにタイプcのメスを取り付けたいと考えているのですが、基本的に配線?の色はほぼ同じなのですが、シールド線と記載のある線の変わりに黄色の被膜の線があるのですが、これは文中でのシールド線に当たるのでしょうか?
    他サイトのURLを持ち出して恐縮ですが、
    https://www.reddit.com/r/steelseries/comments/u9z0ob/how_to_detach_apex_7pro_tkl/
    上記サイトのケーブルが既に販売されていない為、自作しようと考えたのが経緯です

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    1. 画像を確認してみたところ、確かに黄色の線がシールド線(収縮チューブで保護している)に変更されてるような仕様に見えます。
      ケーブル交換後、Type-Cレセプタクルのアウターシェル側にシールドを接地させている画像があるため、黄色はシールド線に当たっていたと考えられそうです。

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  8. ご教示ください。ド素人で恐縮です。PCとキーボードを接続する[USB-C]ケーブルを自作しようと思っているのですが、その際に必要なコネクタは[通常]のみで良いのでしょうか?若しくは、片方は[通常]で、もう片方は[OTG]のコネクタにしたほうが良いのでしょうか?お手数をお掛け致しますが、宜しくお願い致します。

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    1. PCと接続する場合、通常のみでも動作可能です。

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    2. 早速のご連絡、ご教示を有難うございます!!

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