2025年4月14日月曜日

銅についてのあれこれ【初級編】


  花粉症じゃないと10年くらい言い続けてますがくしゃみが止まらないし目が痒い、本多です。でも花粉症じゃありません(真顔)

 本日のサンデンは電線の中身の素材についてざっくり書いていきます。

一般的に我々の周りに存在している電線の中身といえば、そう「銅」でできた銅線です。

電源線や通信線などひとまとめに電線と呼ばれるものには主に銅の線が使われています。

数ある金属の中からなんで銅なの?って疑問に思う人、がいるのかわかりませんが、銅を採用しているのには理由があります。


一番大きな要因としては電気伝導率が高いことが挙げられます。

効率よく電気を伝えられるという点が一番評価されている、というわけですね。

ちなみに貴金属の中で一番伝導率が高いのは銀です。銅は次点、その後に金と続きます。

じゃあなんで一番伝導率がいい銀をメインで使わないのか?と言うと、単純にコストがかかりすぎるからなんですね。(オヤイデ電気で取り扱っている純銀線も年々高くなっていってます…)

数値は資料によって変わりますが、銅の導電率を100%としているものをよく見かけます。

銀は105%程で銅と近い数値ですが、金は70%程、その下のアルミニウムは50%ほどになります。

数値だけで比べてみても圧倒的に銅を使用する方が効率的かつ経済的なんですね。

ちなみに、発電所から伸びる架空送電線などには、よりコストと重量を軽くするためにアルミの送電線が使われています。


また、銅は柔らかく加工がしやすいという点でも重宝される金属です。

我々の身の回りでも調理器具ですとか、トップの画像に出ている10円玉のような日本の硬貨など様々な形に加工されて色んな所で使われています。

ちなみに日本の硬貨は1円玉(アルミニウム)以外は全て銅です、知ってましたか?

黄銅(5円玉)、青銅(10円玉)、白銅(100円玉)などいろいろな金属との合金が使われています。

近年の真ん中が銀色の500円玉はニッケル黄銅と白銅を組み合わせた「バイカラー・クラッド硬貨」と言うそうです。


と、少々脱線しましたが、加工性の良さも電線として電線として使われている一つの要因として考えてよいでしょう。



さて、銅線も細か見ていくと色々と種類があり、銅線の素材となる銅には「硬銅」と「軟銅」とが存在しています。それぞれを電線として使用する際は「硬銅線」「軟銅線」と呼びます。

硬銅線

伸線により冷間加工された硬質の銅線です。引張強度が高く、腐食に強い特性があります。

架空送電線や避雷針など、屋外や湿度の高い環境で使用されることが多いです。


軟銅線

硬銅線を加熱して、冷却処理により発生する残留応力を除去した銅線です。柔軟性に優れており、手や工具で簡単に曲げたり成形することができます。

一般的に家庭などにある通信ケーブル、電源ケーブルなどに使用される銅線はこちらが使用されていることが多いです。


また、先の硬貨の例のように銅自体にも色々と種類があります。

黄銅や青銅などは他の金属との合金ですが、純銅(赤銅)は純度による呼び方の違いが存在しています。

オーディオを齧ったことがある方ならOFC(無酸素銅)やPCOCCなどといった名称を耳にしたことがあるんじゃないでしょうか。

産業帯、つまりは一般的に流通している電線に使われている銅線にも実は「タフピッチ銅(電気銅)」という名称が付いています。


【タフピッチ銅とは!】

・タフピッチ銅(TPC:Tough-Pitch Copper、C1100)

純度の高い純銅と呼ばれる銅の一種を使用した銅線で、純度99.90%以上のものを指します。

導電性が高く、加工性に優れており、一般的に家庭などで使用される銅線の大半を占めます。

0.02~0.05%程度の酸素を含有しているので、高温環境下(600℃以上)では水素脆化※を起こすという欠点があります。

※水素脆化:金属に水素が吸収されて強度が低下し、もろくなる現象。


オンラインショップの商品ページにも実は記載がありますし、秋葉原店の店員からも実はよく飛び出すワードですので覚えておきましょう。



ここいらで今回のまとめをしておきましょう。


・銅線は電気導電率が高いから電線として一般的に採用されている。

・銅線は「硬銅線」と「軟銅線」で使用環境などによって使い分けられている。

・産業帯で使われる銅線は基本的に「タフピッチ銅」!


本当にざっくりとした記事でしたが、次があればはもう少し細かい話をできればと思います。


それではまた次回、本多でした。


2025年4月9日水曜日

【サウンドメッセ2025】オヤイデ電気も出展します!【大阪万博も近いよ】

 

今年もオヤイデ電気が関西に上陸!

5月10日(土)5月11日(日)の二日間
「サウンドメッセin OSAKA 2025」内ペダルサミットブースにて、オヤイデ電気が出展することが決定いたしました!

サウンドメッセ in OSAKA 2025

■開催日時
2025年5月9日(金)~ 5月11日(日)

【バイヤーズDAY】
5月9日 (金) 14:00~18:00(*業者間取引のみ)

【本開催】
5月10日 (土) 11:00~18:30
5月11日 (日) 10:00~17:30

■会場
アジア太平洋トレードセンター・ATCホール
〒559-0034 大阪市住之江区南港北2-1-10

■入場料(予定)
前売券:1,700円 / 当日券:2,000円(*各プレイガイドにて発売予定)

・18才以下
無料 *要学生証または身分証明書

・70才以上
1,500円(当日券のみ) *要年齢確認書類

・ハンディキャッパー
1,500円(当日券のみ)*要障害者手帳

※上記は消費税込の価格です。

※会場マップは追って公開!



オヤイデ電気ブースでは下記内容を予定しています。
  • サウンドメッセ2025会場での即売!
  • 圧倒的な人気を誇る「Ecstasy Cable」の展示!
  • NEO SOLDERLESS」の来場者参加型デモンストレーションを実施!
  • ギタリスト/ベーシスト向けの電源タップ・電源ケーブル等も複数展示。
  • ブースご来場者様には、もれなくオリジナルステッカーをプレゼント!
今回も特別な商品を複数販売します。
エフェクターフリークは勿論、オヤイデファンが喜ぶ商品をご用意いたします。

【お品書き】
※追って告知予定!

昨年に引き続き、電線のプロフェッショナルが楽器イベントに立つという貴重な機会となります。
いつも初歩的なことからマニアックなことまで、楽器屋さんでは教えてくれないような相談をいただいてます。こういう展示会はメーカーの人と直接話ができるから良いですよね。

***

2025年は大阪万博が開催されていますね!
ATCホール最寄り駅「トレードセンター前」から大阪万博会場の最寄り駅「夢洲」は約11分!車だと約7分
サウンドメッセと大阪万博、どちらも堪能できると得した気分になりますね。
ぜひ遠方の方も遊びに来てみてはいかがでしょうか?

皆様のご来場お待ちしております!


2025年4月8日火曜日

電源ケーブル作ろう! オヤイデ電気自作講習会2025レポート!!!

 

3月29日土曜日に オノデン本館5F「秋葉原エンタス A+Bホール」で行われた 

”電源ケーブルを作ろう”自作講習会 午前、午後の2部構成となっておりました。

 午前、午後の様子をレポートさせて頂きます。

オヤイデ電気店舗から、すぐ近く!

雨ではありましたが、そんなのは気にしない!

看板を置かせて頂きましたが、目印になってましたか?

気付いて貰えました?

会場であるオノデン本館5F「秋葉原エンタス A+Bホール」へエレベーターでGO!

5階へ行くと更に階段があります。

開場前に数名並んでおられたので、看板は役に立ってたと思います。


今回の電源ケーブル自作講習会では
AXIS303 + P-004/C-004を使った電源ケーブルになります
NRF-005TやMWA-010Tを用いて、
自分だけの電源ケーブルを作り上げる講習会です。


開場までの時間、ご来場される方々を待ちながら
各種部材、工具をご用意して皆様をお待ちしておりました。

10時の開場となり、雨という悪天候ではありましたが、ご来場いただきました。
今年は本多氏、堀内氏でお出迎え!

司会兼講師の原田氏


皆様、説明を聞き、マニュアルを見ながら、製作しておりました。

初めての方も上級者の方も、終始楽しそうな雰囲気でした。

我々、スタッフは見回り、ヘルプ、質問などの対応をさせて頂きました。

講習の時は、この様にカメラを用いて、モニターで製作過程を映していました。


製作が終えてからの質疑応答もマニアックな質問があったりと
着眼点が鋭い!そんな猛者揃いでした。
講習会は時間内に終えて、午前の部は無事終了となりました。
午前の部のご参加の皆様ありがとうございました。

午後の部も午前と同様、オープン前待機をして下さる方がいらっしゃいましたので
ほんの少しだけ早めの開場とさせて頂きました。

14時の講習開始から真剣な面持ちで講習を受けていたのが印象的でした。
参加者の皆様の製作を過程をチェックしたり、
サポートしたり、質問に答えたりとコミュニケーションを取りつつ、
楽しくご対応をさせて頂きました。

勿論、スタッフ同士のコミュニケーションも忘れません(笑)
ペアでご参加の方だけではなく、偶然隣になった初対面同士でも和気あいあいと製作しているのが印象的でした。ケーブルは縁も繋ぐようですね。

午後の部も午前の部同様、時間内に製作が終了し、質疑応答のコーナーでは
午前には無かった質問が飛び出たりで、驚きを隠せませんでした。
午後の部にご参加頂いた皆様、ありがとうございました。

午前、午後とご参加頂いた皆様、本当にありがとうございました。
次回も参加したい!このブログを見て次回は参加したい!
そう思って頂けると嬉しく思います。

以上、丸山でした。

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秋葉原直営店に是非お越し下さい。

皆様のご来店をスタッフ一同お待ちしております。



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【電気の話】直流(DC) と 交流(AC) の変換方法【その2】

前回の週刊サンデンでは電気の流れ「直流(DC) と 交流(AC) の違い」について説明しました。

電気には直流と交流があることはわかりましたが、私たちが普段使用している電子機器たちはどのように動いているのでしょうか?

実は、用途に合わせて ”直流と交流を変換” しながら電気を流して機器を動かしています。

そこで今回の記事では、直流(DC)と交流(AC)の変換方法について解説します。




 

直流と交流の変換

直流と交流は相互に変換することが可能です。

直流と交流の変換は、すべての電子機器と言っても過言ではないくらい、様々なシーンで使用されています。





交流 → 直流(コンバータ)

交流から直流への変換は、最も身近にある電気ではないでしょうか。

一般に電子機器は直流で動作しています。これは身の回りにあるスマートフォンやパソコン、テレビや冷蔵庫、エアコンといった家電製品から、自動車の車載機器や工場内部で稼働している製造ロボットまで共通しています。ただし、これらの電子機器はそれぞれ動作する電圧が異なります。それだけではなく、一つの電子機器の内部でも、回路によって必要な電圧が異なります。ですので、例えばコンセントの交流を直流に変換するだけではなく、必要な電圧に変換して回路に提供する必要があります。

その代表的な製品は「ACアダプター」があります。


交流から直流への変換

交流電源を直流電源に変換するには、トランスで電圧を変換し、その後整流回路で交流から直流へと変換します。ただし整流回路からの出力は正弦波の形になっていて電圧の変動がありますので、これを安定した直流電源に変換するため、さらに平滑回路を通す必要があります。

また、交流は電圧が時間とともに変化します。交流からそのまま直流に変換するだけだと、電圧の変動が回路の動作が不安定になりますので、安定した電圧への変換が不可欠です。

その方法は2つあります。一つはリニア電源で、もう一つはスイッチング電源です。

リニア電源

リニア電源は交流電源から余分な電圧を取りのぞきながら直流電源を作る方法です。いわゆるトランス方式とも呼ばれます。

この方法では商用電源から取り出した非安定な直流電圧を基準電圧と比較しながら、抵抗器を使って余分な電圧を除去して安定化させます。

抵抗器を使うだけですので安価かつ単純な作りで実現できる一方、余分な電圧は熱として放出されますので、回路での熱のコントロールが不可欠となります。また、熱に弱い回路のそばでは利用することができません。

メリット

  • 回路が簡単
  • ノイズが少ない

デメリット

  • 重い、大きい
  • 効率が悪い
  • 発熱が多い


スイッチング電源

スイッチング電源は、リニア電源の「構造は簡単だけど発熱量が大きい」という問題点を解消するために生み出されました。

この方法では抵抗器を使わず、商用電源から取り出した非安定な直流電圧を基準電圧と比較しながら、スイッチング回路、高周波トランス、整流回路、平滑回路などを使って、パルス幅を変化させて安定させていきます。抵抗器を使わない分、熱の発生は抑えられますが、ノイズの発生がありますので、このノイズを取りのぞく必要が出てきます。

スイッチング電源はリニア電源に対して低消費電力であるというのが大きな売りです。もともとはNASAの宇宙開発から生み出された電源です。宇宙空間で運用される人工衛星や宇宙船はエネルギーを無駄にできない上、熱の放出が困難な場所ですので、廃熱を伴わずにエネルギーを使い切るための電源として開発されました。

メリット

  • 軽い、小さい
  • 効率が良い
  • 発熱が小さい

デメリット

  • 回路が複雑
  • ノイズが多い




直流 → 交流(インバータ回路)

直流から交流への変換は、インバータ回路が設計します。

インバータとは、直流から交流へ変換する回路やこの回路を含んだデバイスのことです。太陽光発電やバッテリーの直流を交流の電気に変換する回路や、交流で駆動するモーターの制御回路をインバータと呼んでいます。ここでは「直流を交流の電気に変換する回路」について先に解説します。

代表的な製品は、太陽電池パネルでつくられた電気を変換する「パワーコンディショナー」があります。


直流から交流への変換

例えば、太陽電池パネルから作られる電気は直流です。そのため家庭や工場で使用できるように交流に変換する必要があります。そこでパワーコンディショナ(パワコン)と呼ばれるインバータを使用し、直流を交流に変換しています。

多くの場合、半導体のスイッチ(FETなど)を使用して直流の電圧を細切れにし、それをローパスフィルタを使って平滑化することで交流を作り出します。


インバータ回路の原理

インバータ回路は直流を交流に変換します。


回路に直流電源を接続して、負荷に対してスイッチ①と④がONの状態の時に②と③がOFF、①と④がOFFなら②と③がONと、対になるように一定周期で繰り返すと、負荷に流れる電流の方向が切り替わってプラスとマイナスの電圧で出力され、交流電流を作りだします。この技術が「スイッチング技術」です。

なお、スイッチング技術を用いた回路は、交流を直流に変換することもできます。電圧が正方向のときはスイッチ①と④を閉じ、電圧が負方向のときはスイッチ②とスイッチ③を閉じると、負荷に対しては常に同じ方向に電流が流れます。




交流 → 交流(インバータ装置)

先述のコンバータ回路とインバータ回路を用いた「インバータ装置」は、交流から交流へ変換します。

一般的に、コンセントから供給される交流は電圧と周波数が一定で、国によって統一されています。交流の電圧や周波数を任意の値に変更するには、交流(AC)の電気を一旦直流(DC)に変換し、再度交流(AC)に戻す必要があります。交流電源の内部に、この「インバータ装置」が使われています。

代表的な製品は、交流で駆動するモーターを制御する「エアコン」や「洗濯機」などです。


インバータ装置の技術

インバータ装置はモーターを制御できます。エアコンを例にしてみましょう。

インバータの搭載されていないエアコンは、冷えすぎると運転を休止し、暑くなると運転を再開させるしかありません。室内の温度が安定せず、電力消費が多くなるなど、とても効率が悪いものです。

一方で、インバータが搭載されたエアコンは、冷房を運転開始時に高速でモーターを回してファンを回転させ、設定温度に近づいたらファンを低速にして緩やかな変化を付けて運転を継続させます。結果、ONとOFFしかないエアコンよりもムダな動きが減らせて省エネでの運転が可能になります。

インバータ装置の恩恵を受けているのは、家電だけではありません。エレベータの揚げ降ろしや工場のコンベアーが急加速や急停止しないようになっているのは、モーターの加速がうまく調整されているためです。モーターの速度調整にはインバータ装置が役立っています。


インバータ装置の仕組み

インバータ装置は、コンセントからの交流電流を任意の周波数や電圧に変更する目的で多く使われます。

コンセントから供給される電圧と周波数は、東日本なら100V、50Hz、西日本なら100v、60Hzと決められており、モーターの回転数は周波数によって決まるため、コンセントとモーターを直接つなぐだけでは、回転数を連続的に変化させられないのです。

そこでインバータ装置を用いて周波数を変えることによってモーターの回転数を変化させます。交流電流を直流電流に変換する「コンバータ回路」と「コンデンサ」、そして「インバータ回路」の3つの要素で構成されています。

コンバータ回路で交流を直流に変換し、コンデンサに充電や放電を繰り返しながら安定した直流に整えます。次に、インバータ回路で直流を任意の周波数や電圧で交流に変えて出力にします。





直流 → 直流(DC/DCコンバータ)

DC/DCコンバータとは、直流を直流へ変換する装置です。直流の電圧を変え、電圧変換を行うために使用されます。DC/DCという名称から「デコデコ」ともよばれます。

代表的な製品は、スマートフォンなどを充電する「モバイルバッテリー」です。


DC/DCコンバータの用途

コンピュータの基板などに利用されているICなどの電子部品は、固有の動作DC電圧をもち、さらに不安定な電圧では誤作動を起こしてしまいます。そのような機器に直流電流を供給する際にDC/DCコンバータで電圧変換を行います。

DC/DCコンバータで、電圧を安定にする装置のことを電圧レギュレータといいます。電圧レギュレータにはいくつか種類がありますが、大きく分けて「リニア型」と「スイッチング型」があります。

直流電流は交流電流のような周波数や層などの差はありません。電圧と電流量(抵抗)だけで条件が決まります。直流電流には、IC、電子回路のような低い電圧のものから、電気自動車のモータを動かすような高い電圧のものまであります。

DC/DCコンバータの評価では、入力側の電圧を変動させたり、出力側の負荷を変更して電流を変動させたりするなど、実際の使用状況を模擬する必要があります。また特に自動車に使用するDC/DCコンバータなどの場合、環境負荷低減の観点から回生エネルギーを使用するものを多くあります。

例えば「モバイルバッテリー」は、交流電源をAC/DCコンバータでバッテリーに直流電源を溜めます。そのバッテリーからスマートフォンへDC/DCコンバータ装置で変圧した電圧を出力します。


リニアレギュレータ

リニアレギュレータ型のコンバータは、最もシンプルなDC/DCコンバータです。主に降圧を目的に使用されます。リニアレギュレータ(調整器)と呼ばれる、三本の端子を持つ電子部品を使うことがこのコンバータの特徴です。

メリット

  • 回路が簡単
  • ノイズが少ない

デメリット

  • 重い、大きい
  • 効率が悪い
  • 発熱が多い

この端子の一本は入力用、もう一本はGND(グランド)用、そして最後の一本が出力用で使われます。

入力端子から高い電圧が印加された時、レギュレータに抵抗やトランジスタなどの半導体を用いることで電圧降下させ、余分な電圧を熱に変える現象を利用して任意の直流電圧を獲得します。

シンプルゆえに量産が可能で低価格帯製品が多いですが、放熱するので大きな電流を出力させることはできず、せいぜいの環境は1Aほどとなります。また、不要な電力を捨ててしまうということは効率が良いとは言えません。

スイッチングレギュレータ

現在主流となっているDC/DCコンバータが、スイッチング型です。「交流→直流の変換」の解説にもあった通り、NASAが、もっと低消費電力で高い効率を期待できる電源を所望し、開発に至りました。

スイッチング型のDC/DCコンバータは、スイッチを高速でオンオフさせることで入力された直流電圧をパルス状に区切り、それらをならして平均化させるものです。

メリット

  • 軽い、小さい
  • 効率が良い
  • 発熱が小さい

デメリット

  • 回路が複雑
  • ノイズが多い

リニアレギュレータと比較すると効率が良く、また、放熱はないため大電流下での駆動が可能となります。

また、これまで昇圧はトランスを用いねばならず、機器にボリュームが出がちでしたが、スイッチング型コンバータによって昇降圧どちらも選べるようになりました。つまり、小型・軽量化に成功するようになりました。

ただ、回路構成がやや複雑でコストがかかる、ノイズが大きいなどの課題もあります。




電線へ求められること

電線を選定する際、簡単に次のようなACコードやDCコードを求めることになりますが、目的が送配電用、機器配線用、信号、制御用等いろいろな用途があるため、みなさまの ”電線をください” に対して我々電線を提供する側としてまずは、"電源用ですか?信号用ですか?" 等と伺います。

電源用であれば耐電圧や許容電流など必要条件を深堀していきます。


電線においては「定格電圧」が設計されている製品があります。「定格電圧」は絶縁破壊を起こすことなく連続使用できる最高使用電圧です。

一般的に「盤内機器接続用」と「盤間接続/機器間接続用」の電線では低圧区分AC600V・300V・100V未満の電線が使用されます。

また、高圧区分:DC750Vを超え7000V以下 / AC600Vを超え7000V以下、特別高圧区分:AC/DCともに7000Vを超える電圧が存在します。

電圧が高くなるほど危険性が増しますので、専門的内容であると共に電線の性能も十分に考慮する必要があります。電圧表記については各商品仕様をご確認ください。

(※一部の製品は、低圧の部類の中でも弱電用として定格設計は無く、耐電圧や試験電圧を設けている物もあります。)

電圧表記に「600V」や「DC20kV」などと表記されていますが、特段交流・直流の判別がつかない場合には、交流(AC)を指していることがほとんどです。

直流(DC)の場合には耐高電圧が求められることが多いため「DC20kV」などと大きい数値で表記されていることがほとんどです。

電気/電子機器用の電線の選定においては、そこに加わる電圧、電流の大小、直流、交流等の諸条件を勘案して選定する必要があります。





今回は直流と交流の「変換方法」について解説しました。
我々が普段使用している家電や電子機器は、すべて変換された電気で動作していることが判ったかと思います。

オヤイデ電気では電線・資材を提供しています。
この記事は電線に直結する情報はありませんでしたが、例えば修理に必要な電線、製品に配線される電線等々、お客様の電線探しのお手伝いになれば思います。

以上、ウノツでした。

P.S.  毎週月曜日更新のサンデン、1日遅れてすみませんでした。


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2025年3月31日月曜日

【電気の話】直流(DC) と 交流(AC) の違い【その1】

オヤイデ電気に電線をお求めになられる方は、少なからず電気をながすために電線を買いに来られていると思いますが、電気の流れ直流(DC)と交流(AC)についてはご存知ですか?

そこで今回の記事では、直流(DC)と交流(AC)のそれぞれの違いについて解説します。




 

電気には直流と交流がある

電気の流れには2つの方式があります。直流(DC)と交流(AC)です。

直流とは、川の流れにも例えられるように、常に一定の方向に向かって電気が流れる方式です。電池やバッテリー、太陽電池などから得られる電気の流れのことをいいます。

一方で交流は、プラスとマイナスが常に周期的に入れ替わり、それにともない電気の流れの方向も常に変わっていく方式です。発電機やコンセントなどから得られる電気の流れです。発電所で作られ、家庭に送られる電気も交流が送電されています。

直流と交流の電気が流れる様子を図にすると下記のようになります。


直流は電圧が常に一定していて、一定の方向に電気が流れるものです。対して、交流は電圧が周期的にプラスからマイナス、マイナスからプラスへと変化するので、それに合わせて電流の向きも周期的に変化しています。直流と交流はどちらが優れているということはなく、それぞれにメリットとデメリットがあります。電気を使用する目的や機器によって、それぞれの特徴に合った電流、電源が選択されています。


直流(DC)とは

直流は向きが一定で、かつ時間経過によって大きさが変化しない電気(電圧や電流)を指します。

英語で「Direct Current」と表されることから「DC」と呼ばれることもあります。


直流電源の特徴

常に一定方向に電気が流れる直流には、次のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 回路に進みや遅れがない
  • 無効電力が発生しない
  • 蓄電できる

デメリット

  • 電流遮断が難しい
  • 電圧変換しにくい
  • 電食作用が強い

交流では、常に電流の向きが入れ替わります。そのため、例えばコンデンサ成分やコイル成分などが回路に含まれる場合、電圧の挙動に対し負荷に流れる電流に遅れや進みが発生します。しかし直流ならば常に電圧も電流の向きも一定しているため、コンデンサやコイルなどの挙動も常に一定です。したがって直流では回路に進みや遅れが発生しません。また交流では電流の向きが入れ替わるために、全ての電気が負荷を通るわけではなく、負荷と電源の間を往復しているだけの電力が発生してしまいます。これを無効電力といいます。

直流では、電流は常に一定方向に流れているため、全ての電気が負荷を通過します。ところてんが押し出されていくイメージです。そのため無効電力が発生せず、効率よく電力を利用できます。直流は電池やバッテリー、コンデンサなどによって蓄電できるのもメリットです。

一方で直流にもデメリットがあります。その一つが、電流遮断が難しいことです。直流は常に一定の電圧がかかっているため、特に電圧が高い場合、遮断の瞬間にはアーク(火花)が発生したり、周囲に感電の危険が発生したりするなどの問題が起こります。 交流の場合には、電圧がプラスからマイナス、マイナスからプラスに切り替わる際に瞬間的に電圧が0になります。電圧が低いときを狙えば、直流よりも安全に電流遮断できるのです。また直流の電圧を変換する際には、一度交流に変換し、再び直流に戻す必要があります。そのため、直流の電圧変換装置は交流よりも大がかりでコストがかかります。送電に必要な地下パイプやがいしの腐食が激しいのも、直流のデメリットです。直流では常に同じ方向に電気が流れ続けるため、静電誘導や電食作用により送電機器の腐食が進みます。電池やバッテリー、コンデンサなど、蓄電されたものから出てくるのは直流です。そのため電池で動く製品は直流に対応しています。

一方、一般の家庭の電源は交流電流ですが、パソコンのような電子機器やテレビなどの家電で使われているのは直流電流です。このような機器を動かす場合には、コンセントからの交流をコンデンサなどで直流に変換し、使用しています。しかし、直流電流がメインで使用されるデータセンターなどでは、交流から直流へ変換する際のロスを減らすため、直流給電の普及が進められています。

具体例

直流の最もイメージしやすいものに「バッテリー」があります。

最近はモバイルバッテリーが普及したことで、生活の中でもより身近な存在となっています。もちろんモバイルバッテリーに限らず、乾電池や自動車用の鉛蓄電池なども直流です。


用途

直流の用途は、具体例がバッテリーであることからも想像できる通り、電子機器の電源として利用されています。

これは多くの電子機器の内部の回路が、直流の電圧をもとに動作するためです。

代表的な電圧としては「12V」「5V」「3.3V」などあり、これらの電圧をもとにして電子機器は動作しています。


交流(AC)とは

交流では、時間の経過とともに大きさが変化するとともに、電気(電圧や電流)の極性(正と負)が反転します。

英語で「Alternating Current」と表されることから「AC」とも呼ばれます。


交流電源の特徴

電圧がプラスとマイナスで周期的に変化する交流には次のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 高圧送電による電力損失が少ない
  • 変圧しやすい
  • 通電中の遮断がしやすい
  • プラスとマイナスを気にしなくていい

デメリット

  • 目標電圧よりも高い電圧が必要
  • コイルやコンデンサの影響を受ける
  • 超長距離の送電には向かない

特に発電所から都市部にといった長距離送電を行う際には、送電効率向上のため60万V(ボルト)という非常に高い電圧での送電が行われます。低圧での送電では電力損失が大きくなってしまうからです。なぜなら、同じ長さ の電線(抵抗)に対し、同じ時間電気を流した場合、電流の2乗に比例した熱が発生します。熱は外へ逃げてしまうエネルギーなので、電力損失です。例えば3000W(ワット)の電力が必要だった場合、電圧が100Vの場合は30A(アンペア)の電流が必要ですが、電圧が1000Vであれば3Aの電流で済みます。つまり電圧を10倍にすれば電流量は1/10になり、それにともない電力損失は1/10の2乗、1/100に減らすことができるのです。そのため、長距離送電では非常に高い電圧での送電が行われています。もちろん、そのままの電圧では家庭やオフィスなどで利用できません。供給される電圧は、大きな工場では10万V、ビルなどでは6600V、家庭や会社などには200Vまたは100Vです。

したがって発電所から送られてきた電気は、地域や場所に合わせて電圧を下げる必要があります。

交流は直流に比べ、トランスを利用した変圧器で容易に変圧できるため、インフラとしての電力供給に適しています。

交流では周期的に電圧が0になるタイミングが訪れるため、通電中の遮断が容易なこともメリットです。また家庭用電源(コンセント)のように、プラスとマイナスを区別せずに使え、接続する機器や操作を単純化することもできます。一方、交流は常に電圧の値が変化しており、電圧が0になるタイミングもあるため、必要な熱量に対し、目標電圧よりも高い電圧が必要になります。交流の電圧の波形は正弦波を描いていて、最大電圧は実行値の√2倍です。絶縁性能や機器のスペックは実効値よりも高い性能が求められます。また交流の特徴は、コイルやコンデンサに影響を強く受けることです。コイルやコンデンサでは、電流の方向とは反対の方向に電流を流すような電圧が発生するため、回路の電流に進みや遅れが発生します。発電所で発電され、送られてくる電気は交流です。発電所では、交流の波形を120度ずつずらした3つの波を同時に送り出します。このような電気を三相交流といいます。

交流には一相交流と三相交流があり、特に高圧の送電に使われるのは三相です。家庭用のコンセントに送られる際には、電圧の変換と共に一相へと変換されています。交流は一般の電源(コンセント)で用いられ、掃除機や換気扇のように繊細な制御を必要としないモーターにはそのまま使用されています。逆に、エアコンや洗濯機、冷蔵庫などのモーターは、交流電源をそのまま使わずにインバータなどで細かな制御を行っています。

具体例

交流の最もわかりやすいものは「商用電源」です。
発電所から家庭のコンセントまで届けられている電気のことです。

この商用電源は、発電所では数万V以上の高い電圧ですが、徐々に電圧を低下させながら送電しており、このように電圧の変換が容易なことが交流の特徴の一つです。


用途

交流は商用電源の他にも、パワー系の分野では「モーター」、通信の分野では「電波」や「電磁波」として利用されています。

モーターの場合にはいくつか種類がありますが、誘導モーターは交流の電流を流すことで、モーターを回転させることができます。

また電波の場合は、交流の中でも周波数の高い「高周波」の電気信号をアンテナに印加することで、空間を介して電気通信できるようになっています。





電線に求められる直流・交流

電線を選定する際、簡単に次のようなACコードやDCコードを求めることになりますが、目的が送配電用、機器配線用、信号、制御用等いろいろな用途があるため、みなさまの ”電線をください” に対して我々電線を提供する側としてまずは、"電源用ですか?信号用ですか?" 等と伺います。

電源用であれば耐電圧や許容電流など必要条件を深堀していきます。


電線においては「定格電圧」が設計されている製品があります。「定格電圧」は絶縁破壊を起こすことなく連続使用できる最高使用電圧です。

一般的に「盤内機器接続用」と「盤間接続/機器間接続用」の電線では低圧区分AC600V・300V・100V未満の電線が使用されます。

また、高圧区分:DC750Vを超え7000V以下 / AC600Vを超え7000V以下、特別高圧区分:AC/DCともに7000Vを超える電圧が存在します。

電圧が高くなるほど危険性が増しますので、専門的内容であると共に電線の性能も十分に考慮する必要があります。電圧表記については各商品仕様をご確認ください。

(※一部の製品は、低圧の部類の中でも弱電用として定格設計は無く、耐電圧や試験電圧を設けている物もあります。)

電圧表記に「600V」や「DC20kV」などと表記されていますが、特段交流・直流の判別がつかない場合には、交流(AC)を指していることがほとんどです。

直流(DC)の場合には耐高電圧が求められることが多いため「DC20kV」などと大きい数値で表記されていることがほとんどです。

電気/電子機器用の電線の選定においては、そこに加わる電圧、電流の大小、直流、交流等の諸条件を勘案して選定する必要があります。





今回は「直流」と「交流」のそれぞれの違いについて解説しました。
電気はさまざまな形をしていることが判りました。
直流と交流は仕組みがまったく異なるため相容れない関係に見えますが、我々にとって最も身近な電気は、実は「直流と交流が変換」されて存在しています。
次回は変換方法について解説していきたいと思います。

以上、ウノツでした。

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