2016年6月17日金曜日

大事なんだけど実は何だかよく解らない「オヤイデのケーブル」のお話し

オヤイデ電気をご贔屓の皆様も初めましての皆様もご機嫌如何お過ごしでしょうか。

先日、ケーブルの価値のお話しとか言ってグダグダとBlogCable of the people, by the people, for the people!)を書きました。文末に「ケーブルの話の本題に続く!」と随分と威勢のいいセリフを言ってしまったことを後悔しつつ、本日は大事なんだけど実は何だかよく解らない「オヤイデのケーブル」のお話しをしたいと思います。

オヤイデ電気と言えば電線。電線というのは導体あるから通電します。その材料は金属で主に銅がよく使われています。何で銅が使われれるのかという一つの理由として「導電率(電気伝導率)」があります。実際Ag(銀)が世の中で最も導電率が高く、次いでCu(銅)。しかし銀と銅では価値が全然違いますよね。かたや貴金属ですから。純銀だけで電線を作ることも出来ますが余程の事情がない限り、大概はコストパフォーマンス的に銅です。性能によっては鉄とかアルミとか色々ありますが、オーディオ(音)的な観点ではケーブルの殆どが古今東西、銅線を使用しています。銅を使ってますよといっても、銅にもクオリティがあります。要は「質」ですね。銅の純度だったり導体の表面加工だったり。オヤイデ電気ではその「質」にこだわった結果、精密導体「102 SSC」を開発するに至ったわけです。

そもそも銅には幾つかの種類があります。純度は高くないけど(といっても99.9%以上)導電率の高いタフピッチ銅、はんだ付け特性に優れた脱酸銅、そして99.99%以上の純度を持つ無酸素銅など。殊オーディオ界に関しては無酸素銅(OFC)が主流と言えます(多くのオーディオ用ケーブルメーカーがOFCを採用)。そのOFCの結晶粒界をコントロールした導体が日立のLC-OFCであり、古河のPCOCCだったりする訳です。他にも三菱のDUCC、古河PC-UHD、PC-CCC、日立C1011、HiFC(銅合金)、海外まで目を向けると数多の銅素材がありますが、おそらく品質管理の観点から日本のケーブルメーカーの多くは国内産のどれかを使用しています。そこにプラスアルファの技術を加えたり独自開発にまで至っているのが数社。その中の一社が弊社の「102 SSC」ということになります。

ここでちょっと思い出話なのですが、これまでオヤイデ電気は古河のPCOCCを採用し、アニール処理を施したPCOCC-Aという素晴らしい銅素材をオーディオ市場に広めてきて、多くのPCOCC-Aユーザーを得てきた中で、ユーザーの声と共にそのPCOCC-Aの良さと必要な要素を検証し続けてきました。そしてPCOCC-Aの流通の隆盛期に思ったことは、オーディオユースの導体としてPCOCC-Aは他の素材と比べても優れているということ実感するとともに、このPCOCC-Aという素材に対して、どのような構造・素材のケーブルとして完成させればどういう音質傾向に落とし込めるのかということも学び続けました。

その副産物がケーブルに合うプラグであり、はんだであることは、組み合わせ・落とし込みたい音質にするための必然的な開発だったのです。それだけこだわるのは本当に必然的で、素材の組み合わせの妙が、欲しい音質に近付けるための要素なんですね。で、さらにオヤイデ電気は事実上ユーザーに向けたケーブル販売のパイオニアです。ケーブルに対する愛情と知識はおそらく他の追随を許すことはないんじゃないでしょうか。なんて自画自賛してもしょうがないのですが、多くの種類のケーブルを取り扱い、知識を持っているという点で、ケーブル開発を行う上で大きなアドバンテージになっていることは揺るがない事実です。

その上でオヤイデ電気はPCOCC-Aの後継導体として自社開発という決断をしたのには理由があります。マクラがちと長すぎるキライがありますが、ここからが本題!オヤイデ電気の精密導体「102 SSC」のお話しです!
偶然か必然か、PCOCCの製造終了を機に各社が狼煙をあげケーブル戦国時代に突入したのが2014年、本来戦い嫌いのオヤイデさん(物議を醸しそうですが本当です)は戦いを避けるべく導体を一から開発しようじゃないかと素材の入手、特性やら傾向をリサーチしまくりました。とにかく他社との競合は避けたいし、クオリティは高くありたいと思うのは商売人の常。しかもユーザーの手に取りやすい逸品が必要です。となると必然的に高い価格で他社の導体の供給を受けることはユーザーライクではない。となると大きなリスクを覚悟してでも、より良い素材をユーザーの手に取りやすい価格で提供することがオヤイデ電気の使命と、「102 SSC」の開発に着手したのです。

オヤイデ電気のオリジナル精密導体「102 SSC」は導電率102%以上を誇るスペシャルサーフェスなカッパー。要は精密な表面加工によって高い導通特性を実現した高純度銅ってことですね。ではなぜ精密な表面加工にメリットがあるのか? それは電気は導体の表面を通る特性があり、電流はその表皮効果に依存します。導体表面が鏡面化されていることによって物理的に電流はスムースに流れるのです(ここポイント)。

でもだったら単線の方がよりスムースに電流が流れるじゃないか!だったら単線に断然アドバンテージがあるだろう!と思う方、まあ慌てずに。電線(電流・信号の伝送)には幾つかの要素があります。これはケーブルのことを知らない同業者に対するネタバレになってしまいますが、確かに単線の良さは電流をダイレクトに伝送するという点にメリットがあり、特に大容量の電流などには効果絶大です。だからというわけではありませんが、屋内配線など太い単線に用いられるのは納得いきますよね。だって大量の電流をバーッて流せるんですから。理に適ってます。そりゃパンチも出るし所謂早い音を実現するには持って来いです。その上銅の純度が高かったり表面処理が精密ならばそれだけ細密な、高解像度の音(笑)を得ることも可能です。

そうした特性を知り尽くしているのが我々オヤイデ軍団! やれプラシーボだ、錯覚だ、ご飯がおいしく炊けましただ、データ出せだなどという声にもめげず、雨にも負けず風にも負けず、夏の暑さにバテながらも開発をしています。思いより客観性を重視し、且つ物理と理論の整合性を重視したモノづくりをすることで、魔法使いのような表現を辛うじて避けてきているオヤイデ軍団!あんまり言うと完全にネタバレするぞと注意を受けつつも、「102 SSC」の性能を伝えたいがために皆様が知りたいことを言いたい!

さっきから表面処理云々言っているのは銅線を作るとき、ぶっとい銅線の状態でまずは「ピーリング」という皮剥き工程を行うんです。そこでまずは表面の酸化不純物と取り除きます。しかも銅というやつは空気に触れた時点で酸化し始めてしまうんですね。そういう意味では新鮮な生ものみたいなもんです。その生もの(銅ですけど)を素早く次の「伸線」工程へと進めるのです。ここがミソ。伸線というのはいくつものサイズのダイスという器具を通ることで任意のサイズまで銅線を伸ばすわけです。
ピーリング前
ピーリング後
そのダイスという器具は銅線が通るための穴が開いていてその穴のサイズで仕上がりサイズが決定します。そのダイスの穴にはダイヤモンドが使われていて、通常その殆どが人工ダイヤモンドなんです。通常そこまでこだわるメーカーもないのが実情だしそれほど気にかけていらっしゃらないのかもしれません。しかしそのダイヤモンド、天然か人工かで銅の表面平滑度が全然違うのです。我々オヤイデチームはそれを証明したいがためにマイクロスコープを導入し、断然コストがかかってしまいますが天然ダイヤモンドダイスを使用し、徹底的な品質管理のもと「102 SSC」の表面平滑度を証明しています。母材にはバージン銅を使用しJIS C1011に準拠した高純度銅が数々の工程を経て、オーディオ機器・機材のためだけに導体を開発した結果が「102 SSC」なのです。そうしたプロセスを経て我々オヤイデ電気は「102 SSC」という導体を使ったケーブルを作っているのです。
天然ダイヤモンドダイス
天然ダイヤモンドダイスによる伸線
以上を余談と言ってしまうと語弊がありますが、大事なのはここから。実はケーブルというのは導体が良ければ良い音に直結するわけではありません。同じく単線だからダイレクトに音を引き出すということでもないのです。まず銅線には絶縁体が必要です。裸のままだと感電したりショートしたりしますからね(笑)。その組み合わせでも随分と性格は変わっていくものです。そして導体と絶縁体を組み合わせるにあたり、導体サイズに対して絶縁体の素材や厚さがどれだけ影響を与え合うかといったテストもしまくり絶縁体以外の材料の特性や相性、単線がいいのか撚り線がいいのかなどなど。おそらくこれは導体を自社開発し、多くのケーブルを作っているからなせる業でもあると自負しております。
要するに既存のフォーマットに則ってケーブルづくりをしているだけではなく、オーディオや機材ユースに最適なケーブルを作るにはどういった組み合わせで作るかにこだわるがために、他に類を見ない構造のケーブルが出来上がってしまったりします。十字絶縁構造のACROSSシリーズなんかは超理にかなった構造ですが、一般的には見かけない構造なので奇を衒ってるんじゃないかなんて思われるかもしれませんが、そうでもありません。材料のすべてに使う理由があり、音質のチューニングを果たす結果をもたらします。オヤイデ電気には同じ製品のサイズ違いがあったりもしますが、分かりやすく言いますとサイズが違うだけで音質傾向が同じでもレンジ感の重心に変化をもたらし、使用している機器の性格に合わせたサイズ選びで、理想の出音を狙う事が出来るという寸法です。そのような必然が現在の製品ラインナップです。なぜPCOCC-Aの時にデザインした構造のケーブルを「102 SSC」を使いV2としたのか、それは全て「102 SSC」の良さを引き出すために他ならないのです。

そのようにケーブルにかかわる素材ひとつひとつを理解し、目的に対して何が必要なのかということを熟知しているには当然訳があります。それは産業用ケーブルも同じことで、ユーザーは目的を持ってケーブルの性能を選びます。用途、容量、インピーダンス、太さ、外径、柔らかさ、素材、などなど。何せこちとら60年間そうした要素を必要としているユーザーに直接対応してきた電線屋の老舗、今も脈々とユーザーと深くかかわっております。だから店舗では無暗矢鱈に自社製品をお勧めするよりも適材適所に優れたものをお勧めするのです(わからないことがあれば何でもお問い合わせください)。

そうした対応によってお客様の要望も窺い知ることが出来ますし、プラスアルファの要素として何を欲しているのか、何が要らないのかなどなど、お客様からの声が大切な情報として有効化され、製品開発にも役立たせて頂いているのです。こうした実績に基づいた、一朝一夕とはいかない知識と経験を活かし製品の開発を行っているということが、他の追随を許さないオヤイデ電気の優位性といったところです。だから多分オヤイデ製品はコストパフォーマンスが良い方なんじゃないかと思います。そういう意味では国産でオヤイデ価格に近付けることのできるメーカーさんは相当な努力をされているんだと思います(リスペクト!)。

だからというわけではありませんが、ユーザーも選ぶ目と知識で良いものを買って頂きたい!という指針となるか分かりませんが、良いものって何なのか、その理由を知るだけでも価値のあることだと思います。だから「102 SSC」製品をお勧めしたいのです!

嗚呼、これだけの文字数を費やしても尚、伝え足りないことだらけですが、質問・疑問・お問い合わせは下記リンクにて







さあ、あなたのお好みでケーブルは選びたい放題です!
ENJOY CABLE LIFE!



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