2019年4月22日月曜日

金属を接着できて電気絶縁もできる“ KE-348 ”とは何者!?


信越シリコーン KE-348



社内では「信越シリコーン」とばかり呼んでいるので下手したらスタッフですら「KE-348って何?」となりかねない商品ですが、正確には信越シリコーンのRTVシリコーンゴムという商品の中の一種類です。

*信越シリコーンの 「RTVシリコーンゴム」 とは?*

信越シリコーンさんのHPにRTVのカタログがあります。
以下、引用です。

「 電気・電子・一般工業用RTVシリコーンゴムは、主に電気・電子機器の接着・シーリング用およびポッティング用に開発された液状またはペースト状ゴムです。電気・電子機器の小型・軽量化、高性能・多機能化がますます進み、構成部品や材料にもさらなる高品質化・高機能化が求められる中、信越シリコーンのRTVシリコーンゴムは、耐熱・耐寒性、耐候性、電気特性など数多くの優れた性能で、さまざまなニーズに対応。幅広い製品ラインナップで電気・電子機器や通信機器の信頼性向上に貢献しています。 」

要するに機器や部品に塗る事で弾性のあるゴム質の膜をくっつけられる製品です。
同じ「RTVシリコーンゴム」 でも接着用・コーティング用・放熱用など、用途毎に品番が異なり構成物質も異なります 
オヤイデで取り扱っているのはそのひとつである KE-348 という訳です。

さて、ではKE-348が何者なのかを紹介しようと思います。

*KE-348とは?*

一液縮合反応型RTVゴム 脱アセトンタイプ
(第二類引火性固体 危険等級Ⅲ)
メリット:硬化阻害が少なく、取り扱いが容易。 加熱/混合の必要がない。
デメリット:深部硬化が遅い。硬化速度調整がしにくい。
硬化反応中に少量の発生ガスを出す。
発生ガス:アセトン

アセトンはヒトの体内でも自然に生成され排出される物質で、マニキュアの除光液、プラスチック系接着剤、塗料の溶剤などにも含まれています。引火性がある点を除けば特に心配するような物質ではありません。

下表はカタログより詳細情報を抜粋したものです。


ざっくりまとめると KE-348 は色んなものを接着できる接着剤と言ってもよいでしょう。
実験のため適当な金属の小物同士をくっつけましたが、力まかせに引っ張っても全然剥がれないくらい強力です。
接着だけなら電気特性を伴わない KE-45 という商品もありますが KE-348 は絶縁効果があるので、例えばケーブル被覆が破損して導体が剥き出しになった箇所を補強するような用途にも使えます。
正式な商品名には KE-348-W(白) や KE-348-T(透明) と言った色を表すアルファベットが末尾に加わります。

*使い方*

チューブに入っているペースト状の KE-348 を必要な個所に塗り込むだけ。おわり。常温硬化(目安24時間ほど)なので1日程度放置すれば完成です。※ただし完全な機械的強度が得られるには約3日間、電気特性を含めた性質を発揮するまでには約7日間必要です。
左が塗りたて、右が2~3日経過して硬化したものです


*欠点*

●めちゃくちゃ剥がしづらい!(そもそも剥がす事を目的とした製品ではありませんが。)
ホットボンドなんかと比べると密着強度がかなり強力なのと、剥がせたとしても被着体側に樹脂カスがこびりついてしまうため完全に除去するのは面倒です。

が!

一家に一本あると便利なオーバーホールクリーナー
オーバーホールクリーナーを使用するとこびりついた樹脂カスをきれいに取り除くことができます!
オーバーホールクリーナーについてはこちらの記事もご覧ください。


●成形が難しい
空気に触れてから1~2分程度で表面が硬化して指で触れても大丈夫な状態になりますが、それをグネグネしてるうちに薄皮が裂けてしまうと中から柔らかいペーストがぶちゅーっと溢れてしまうので案外難しいです。かといって柔らかいうちに触ると指やヘラの表面に付着して伸びてしまいキューピー人形の頭部みたいになってしまいます。
キューピーヘッド状態
1分くらいしてから指でポンポン押した状態。くびれ箇所は修正が難しい。

見栄えが必要になる露出部分で使う場合はペーストを塗り付ける段階から慎重に作業した方が良さそうです。


欠点の記載が長くなってしまいましたが、その欠点を補って余りあるほど分かりやすくて便利なアイテムであることは間違いありません。気になる方は是非お問い合わせください。

↓お問い合わせはこちらまで↓

直売店舗 TEL:03-3253-9351 FAX:03-3253-9353

本社 TEL:03-5684-2151 FAX:03-5684-2150(24h)

 E-mail:webshop@oyaide.com 

齋藤でした

尚、オヤイデでは似たようなシリコーン商品に「固まる放熱用シリコーン SCV-22」もあります。
「放熱用」とは機器内で発熱する電子部品と冷却用のヒートシンクなどの間に使用することで熱伝導を促進させる用途に使われます。シール用ではなく放熱用がご入り用の場合はこちらをお買い求めください。


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