2024年7月22日月曜日

暑い時期こそフッ素樹脂



 遅い梅雨明けとともに暑さが戻ってきて干上がりそうです、このまま痩せないかな…

数年前までは秋葉原の店頭に立ってたんですが、あの茹だるような暑さのおかけで痩せてたんじゃないか、という噂もある本多です。あの頃のスキニーはもう履けない。そして真相は闇の中。
本日のサンデンは電線に使われる素材にフォーカスしてお話してみようと思います。絶縁体やシースとしてPVC(ビニル)やシリコン、ポリオレフィン(樹脂)など様々な素材が用いられています。それは物体としての強度や耐熱性、耐薬品性など様々な特徴を電線に付与してくれる重要なポイントでもあるわけですが、今回はその中から「フッ素樹脂」について、オヤイデ電気で扱っている商品を交えながらお話できればと考えています。先ず持ってフッ素樹脂とは?フッ素(フッそ、弗素、英: fluorine、羅: fluorum、独: Fluor)は、原子番号9の元素である。元素記号はF[1]。原子量は18.9984。ハロゲンのひとつ。
また、同元素の単体であるフッ素分子(F2、二弗素)も、一般的にフッ素と呼ばれる。
(by wikipedia)
フッ素樹脂(フッそじゅし、fluorocarbon polymers)とは、フッ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂の総称である。
耐熱性耐薬品性の高さや摩擦係数の小さいことが特徴である。中でも最も大量に生産されているフッ素樹脂はポリテトラフルオロエチレン〈四フッ化樹脂〉である。
また、フッ素ゴムは部分フッ素樹脂あるいはフッ素樹脂の共重合体をフォームに加工したものである。
尚、「テフロン」はデュポン社のフッ素樹脂やその加工製品商標である。(by wikipedia)専門用語が多すぎて頭が沸きそう!
化学反応で作られた合成樹脂素材ってことですが、一口にフッ素樹脂と言っても色々と種類があります。
オヤイデで扱っているものですと、ETFT、FEP、PFA、PTFEが代表的ですね。
PTFEはデュポン社が初めに作ったフッ素樹脂素材です。その後PFAなどもどんどんテフロンの銘柄に加えられていったそうです。
っと、このまま行くと世にあふれるフッ素樹脂についての記事と同じことをやりそうなので軌道修正。
電線屋らしく、電線にフッ素樹脂を用いるメリットをご紹介します。
電線にフッ素樹脂を用いることで得られる恩恵はというと、以下が挙げられます。・耐熱性の高さ
・丈夫さ
・薄さ
順番に見ていきましょう。①耐熱性
一般的なPVC(ビニル)電線は性能が良くても60~80℃ぐらいが限度ですが、フッ素樹脂は180℃~200℃以上の耐熱性を持っています。
一番強いPTFEで260℃もの耐熱特性を持っています。ビニルがドロドロに溶ける温度でも平気な顔してるという強力な耐熱素材です。
オヤイデで耐熱電線をお探しのお客様に、150℃くらいまでならシリコン、それ以上はフッ素樹脂系というのは定番の勧め方ですね。
また、逆に寒い温度にも強く(耐寒性)、PTFEで-180℃までいけるそうです。
以前他のスタッフが耐熱実験をした記事があるのですが、火で焼いても全くの無傷でした。
②丈夫さ
フッ素樹脂は熱に強いだけではなく、耐薬品性や摩擦に強い(摩擦係数が小さい)といった特性も併せ持っています。
耐薬品性については限られた条件下で一部の物質に対し弱いだけで、ほとんどの酸やアルカリ、有機薬品などに侵される事がないとのこと…強すぎですね。
また耐候性が高く、紫外線などの影響もほとんど受けないという部分も大きな魅力の一つだと言えます。
③薄さ
フッ素樹脂を電線に用いる場合、上記の特徴以上に個人的に重要なのではと考えているのが被覆の「薄さ」です。
めちゃくちゃ強い素材の上薄く形成して使用できますので、電線にした場合もその恩恵に預かることができます。
同じ導体断面積の電線でもPVCでは厚みが出て使用が難しいところでも、フッ素樹脂の電線なら同じ断面積でも薄く被覆を形成できるため、楽に配線できます。
また大きな耐圧値が必要な電線は自ずと被覆の厚みが通常の品よりも増すのですが、フッ素樹脂ですと厚みを増しすぎずに高耐圧の被覆を形成することができます。
わかり易い例として以下の電線を比較してみましょう




・ハイフロン 
サイズ:3.5sq(45/0.32) 被覆:FEP 定格耐圧:600V

・KIV 
サイズ:3.5sq(45/0.32) 被覆:PVC(ビニル) 定格耐圧:600V

左の透明な方がハイフロン、右の青色がKIVです。

並べてみただけでおわかり頂けるかと思いますが、同じ断面積かつ同じ素線構成、定格も同じ600V耐圧なのに、仕上がり外径が全然違いますね。
正直わかりやすく見せるため極端な例を上げましたが、細い電線でも同じように同じ断面積でも外径を細く収めることができます。
メリットとしては狭い箇所へ太い断面積の電線を這わせやすくなること、でしょうか。
オヤイデ電気でも一時期流行った(?)電動ガンの改造は、フッ素樹脂電線のこのメリットが生かされた良い例だと思います。いいとこばっか推してもアレなのでデメリットも一応お伝えしておきましょう。物質としては色々とデメリットもあるようなんですが、電線として使う場合は個人的にそんなにデメリットはない気がしています。
強いて言えば、燃やしたりして高音になったときに有毒ガスを発生させる事と、素材としてはフッ素樹脂自体が柔らかいので被覆に凹みができやすい点、ですかね。
正直燃やすこともないでしょうし、配線材で使うなら凹みなどは気にもならないと思います。
一番のデメリットは、お高い電線なんです、ってとこですかね。
フッ素樹脂の種類でも価格の上下はありますが、=性能の差、と考えていただいても差し支えないかもしれません。
中でも安価なのはETFE、逆に高価なのはPTFEですね。両者の一番大きな違いは耐熱温度でしょうか。
PTFEが260℃に対し、ETFEは150℃と、シリコーン電線と変わらないぐらいの耐熱温度です。
しかし、ETFEは機械的強度が高いので機器のラッピング配線などに使用されます。
ローコストでより強度の高い素材で配線するのにぴったりということですね。
つまりは適材適所で運用しましょう、という当たり前のことを口にしたところで、今回の締めとさせてください。タイトルが全然用をなしていない事に気付いてしまった本多がお送りしました。

0 件のコメント:

コメントを投稿