こんにちは、DCケーブルの人、本多です
こういう記事を書くのがとても久々な気がしております
オヤイデYouTubeチャンネルで7回に分けて配信しました、
The EFFECTOR BOOK×オヤイデ電気コラボ企画
『ギタリスト坂本夏樹のエフェクターに最適な理想のDCケーブルを探求!!』シリーズは、皆様ご覧いただけましたでしょうか
笑顔が素敵な坂本さん(左)、と笑顔がぎこちない本多(右) |
エフェクターフリークでまだ観てないって方は以下のリンク群から是非覗いてみて下さい
PART1 / PART2 / PART3 / PART4 / PART5 / PART6 / PART7
簡単に各動画の内容を紹介しますと、
1~2:選び方の基準を説明しながら、メインとなるケーブルを選びました
3:選んだケーブルの音を便利グッズを使用して試しに聴いてみました
4:プラグとはんだを選びました
5~6:実際に坂本さんにはんだ付けしていただきました
7:完成品を試奏!
といった構成です
各動画には、選び方のポイント、はんだ付けのコツ、坂本さんによるレビュー、が満載です
3と7だけでも観て頂ければ、DCケーブルによる音の違いを聴いて、感じて頂けるのではないかと思います
バイパス音の違いまで聴き取れますので、案外貴重な動画資料になったかもしれませんね
*
なんだかんだでエフェクターブックの企画にまた参加させて頂くことができました(嬉しい)
ちなみに6年ぶり、2回目です(その時のエフェクターブックはコチラ)
1回目はHDC-1430っていう店舗オリジナルのDCケーブルを作って販売していた時にインタビューして頂きました
まだアルバイトの頃の事でしたので、今となってはとても懐かしく感じます(遠い目)
今回は坂本さんが理想のDCケーブルを求め、部材選びからはんだ付けまで行うというもので、
企画自体が楽しかったのもあるんですが、坂本さんが上手にフォローして下さった事もあり、
おかげ様で気づけば1時間半程喋り倒していました
まぁ、そんだけ喋れば動画を7回ぐらいに分ける必要性も出てくるってもんですよ
そしてめちゃくちゃ疲れました
普段は動画のようにべらべら喋るタイプではありませんので、撮影の後顎が痛かった位です
(その証拠に後半に行くにつれ私の語彙力とボリュームが下がっていくので気になる人だけ確認してみてください)
坂本さん、本当に有難うございました! |
ちなみにこちらは動画で準備していたケーブル郡です
動画で使用したプッシュ式端子台付きDCプラグですが、秋葉原のお店でもうすぐ買えるようになります
型式「5521-PG」、1個税込220円ぐらいです |
オンラインショップでも購入できるように準備中ですので今暫くお待ち下さい
【4/21追記】
オンラインショップでご購入頂けるようになりました!→お求めはコチラから!
こいつがあれば色んなケーブルをDCケーブルにすることができますので、理想のDCケーブル探しに是非お役立て下さい
*
さて、はんだ付けのやり方なども含めてDCケーブルの作り方を紹介する動画を出したばかりではありますが、暫く更新しておりませんでしたDCケーブルの作り方を、簡単にですが久々にまとめてみようかと思います
せっかくなので動画に即した流れでいきますよ
これが最新版!DCケーブルの作り方【簡易版】
1.ケーブルを準備!
いつものごとくツイストケーブルを使用します
ケーブルの選び方は動画でも話している通りですが、以下を目安にしてみて下さい
・ケーブルのサイズ(断面積)
主に帯域バランスの調整を行うことができます
ケーブルのサイズ(断面積)が小さい程、低域が引き締まり、高域が目立ちます
逆に、サイズが大きくなるにつれて低域が出るようになり、ピラミットバランスになります
相対的に高域は目立たなくなりますね
個人的には0.5sq~0.75sq辺りがちょうどいい塩梅のバランス感です
例えば、DC-3398LLはAWG18(≒0.75sq)ですので、ワンサイズ上のAWG16(≒1.25sq)にするだけでも低域の量感が増え、迫力が増しますよ
ベーシストの方には結構好評だったりしますし、今回の企画で坂本さんを虜にしたコチラのケーブルもAWG16でした
・導体の種類
解像度やレンジ感に大きく関わっています
エフェクトのノリや音抜け、スピード感等を改善したい場合にもこだわるべきポイントです
また、導体には特有のキャラクターがあるものが多く、それを理解し活かすことが、ケーブルでの音作りの醍醐味の一つ、と言えるのではないでしょうか
色々種類がありますが、動画に出てきたものから以下紹介
・いなたいレンジ感やオールドな雰囲気には一般的なタフピッチ銅が合います
また、歪ペダルですとレンジを広げすぎない方が美味しい帯域を活かせる場合が多い印象ですので、タフピッチ銅が案外マッチします(BX-Sや8503はオススメ!)
・OFCや弊社の102SSCなどのオーディオグレード系の導体にすると、レンジが広くなり、解像度が上がることで細かいニュアンスが再現しやすくなります
巷でよく見かけるちょっと高域が元気になる系のケーブルは大抵OFCですが、レンジが広がり高域や低域が出てきやすくなっているのでそういった音の変化が起きます(OFCですとモガミのコチラのシリーズをチェック!)
空間系などでは音場感なども改善できますし、設定をシビアに追い込みたい方には、オーディオグレードのDCケーブルはある意味必須だと個人的には考えています
特に102SSCは高解像度ワイドレンジかつ、クセが少ない導体ですので、サウンドの底上げをしつつ変な色付けをしたくない方にはおすすめです(102SSCなら3398シリーズをチェック!)
歪み系の場合、オーディオ系の導体を入れた途端にレンジが広がりすぎて、ギュッと詰まってた音が薄く感じたりすることがありますので、使う音色のキャラクターと、後は好みで選びましょう
正直、この辺りはやったことがあるか、ないかでチョモランマクラスの壁がありますので、とりあえず試してみることがスタートラインです、いちばん大事なことですね
さてさて、ケーブル選びに戻りましょう
せっかくツイスト加工したので、今回はモガミの2515を使用します
2515はOFCケーブルのスタンダードな音がします |
黒を+極、透明を-極として扱います
私はケーブルを準備する段階で、+極側(センターマイナスの場合のコールド側、今回の場合ケーブルの黒!)を先端から大体5mm程カットします
大体のDCプラグは内部が狭いので、接触してショートする可能性を極限まで下げたいがためです
プラグと合わせるとこんな感じの位置感 |
DCケーブルを作るときは石橋を叩き割って進むくらいの慎重さをもって取り組みましょう(?)
ケーブルのむき出し長は3mm程度です、必要に応じて調整して下さい
ケーブルを準備する段階で、収縮チューブや外装用のメッシュチューブをかけると良いです(ケーブルの見た目は大事です)
また、「レンジ感の調整」「音のまとまりの調整」を外装チューブなどで行うことができます
(話し出すと長くなりますので、過去の記事を参照して下さい!)
めちゃくちゃ長くなる予感しかしないので早足で行きます
2.プラグを選ぼう!
動画では色々と選べます的なことを言っておりましたが、実際は正直そんなに選択肢はありません
素材やメッキの種類で音質をちょっぴりコントロールできます
この辺の違いはフォーンプラグなんかとほとんど一緒ですので、簡単に調べてみましょう(ぶん投げ)
ちなみにオヤイデ電気は世界でも珍しい真鍮削り出しのDCプラグを製造販売しています
海外のオーディオメーカーさん達がこぞって買いに来るほど人気の品です
ですが、ここはいつものごとくMP-136Lでやります、コスパは大事
MP-136L |
昔はケーブルの出口を広げたりしてましたが最近は面倒なので広げずとも収まるように工夫をします
ちなみに広げずに入るのは大体4mm×3mmぐらいまでです
しかしながら動画に出ているのに使わないのも何なので、片側をMP-136L、もう片側をDC-2.1Gで製作してみようと思います
DC-2.1G |
3.はんだを選ぼう
動画では3種類のはんだから選んで頂きましたが、実際にははんだもめちゃくちゃ種類がありますよね
動画でも出てきた3種のはんだ |
オヤイデ電気でも産業帯のはんだを含め10種類以上在庫しています
はんだもケーブルのキャラクターを決める最後のちょっとした隠し味になります
選び方のポイントとしては含有する金属の割合に注目すること
以下は参考までにお読み下さい
・鉛入りはんだですと作業性は良いですが、レンジをグッと絞る感じになります(kester44なんかが有名ですね)
→オーディオ系導体と組み合わせると案外いいバランスに落ち着くことがあります
・銀入りはんだは高域の伸びや解像度の改善に一役買ってくれます
→オヤイデのSS-47は融点も低くきれいに仕上げやすいのでおすすめです
・案外ただの無鉛はんだがフラットな音特性を持っていたりします
→千住金属さんとかアルミットのはんだとか、色々試してみて下さいね
今回は動画と同様にKR-19 SHRMAを選択しました
「はんだは抵抗」と、ケーブルを作り始めた頃に教わりました
基本削る方向に作用しますが、含有物によっては(相対的に)特徴を付与する感覚で使用することもできます
私みたいなペーペーはこれ以上語ると火傷するので皆さんも研究してみて下さい
4.はんだ付けを行おう!
もう疲れたから次回でいいですか?って感じなんですが、ここまで来たら勢いで最後まで書ききります
ここからほぼ写真です
MP-136L側からはんだ付けしていきます
MP-136Lの蓋をとったところ |
境目にはんだを盛ったところ まわりを溶かさないように(溶かし過ぎないように)注意して下さい |
あとはコールド部にも予備ハンダ
ケーブルにももちろん、盛りすぎないように予備ハンダします
さて、先ずはコールド側(黒)から
このぐらいの位置ではんだ付けしましょう
僕は結構盛る方ですが、やりすぎるとホットのケーブルとぶつかるので注意して下さい
心配性な方は、動画でもやっているようにフッ素テープなどで絶縁処理をしておきましょう
フッ素テープはASF-110の5mm幅がオススメです |
保護した状態 |
次はホット側
電極の穴は小さすぎて入りませんが、ここに押し当てながらはんだを流し込みます
この時、導体の先端を少し切って尖らせておくと固定しやすくなります
ハサミやニッパーで削りすぎないように尖らせます |
はい、片側のはんだ付けが終わりです
蓋の固定と絶縁の為に中に充填材を流し込みますが、もう片方が終わってからにしましょう
続いてDC-2.1G側をはんだ付けします
と、その前に、動画でもやっている絶縁方法でカバーを処理しておきましょう
(やり方はPART5をみて下さいね)
スミチューブA透明のφ10mmを使用しています |
さてはんだ付けです
先ずはカバーを忘れずに通しましょう
根元のクランプ部が不安な人は収縮チューブで保護しておくと良いですよ
今回はニシチューブのφ4mmを使用しました |
先ずはコールド側から
このぐらいの位置ではんだ付けして下さい |
コールド側は、0.75sq程度のケーブルでしたら、プラグの穴に通して固定することができます(1.25sq以上の太い線は動画のようにはんだ付けしましょう)
その際は予備ハンダをしないで通す方が作業がかなり楽です
(接写を失敗してピンぼけ画像ですまない...) |
念の為、フッ素テープで反対側と同じように絶縁処理します
※この時、厚みを作らないように注意! 蓋が閉まらなくなります |
続いてホットの方もはんだ付けしましょう
動画で解説している通り、点ではなく面でこてを当てると熱を伝えやすくなります
小手先を垂直に当てるイメージでしょうか |
狭い場所のはんだ付けですので、無理がない程度に工夫して作業を行いましょう
はんだ付け完了です! |
5.仕上げに絶縁処理を行おう!
最後に充填材を入れて絶縁処理とMP-136Lの蓋の固定を行いますが、
先ずはその前に、一度導通チェックを行いましょう
戻りやすい段階でチェックを行っておくと、 ミスに気づいたときの対処がしやすくなります |
さて、今回は定番のホットボンドで絶縁&固定を行います
グルーガンを用意します |
MP-136Lの場合、先に蓋の半分くらいの位置までボンドを流し込みます
こんな感じです |
プラグ側は電線と電線の間に流し込んでおきます
境目に盛ったはんだの上からもホットボンドを充填するようにしましょう |
そして固まらないうちに蓋を被せ、軽く固まるまで手で固定したままにしておきます
(10秒ぐらいで大体固まりますので、蓋がずれてないか注意して固定しましょう)
隙間からホットボンドが溢れた場合はカッターなどで取り除きます |
DC-2.1Gの方は絶対に必要な作業ではありませんが、隙間をボンドで埋めておくと、
中のケーブルやはんだ付け部を固定でき、不慮の事故を防いでくれます
この時も、コールド側に漏れて厚みを作らないように注意! |
6.最終チェックをしましょう
導通チェックを済ませたら完成です! |
完成したDCケーブル! |
*
ふぅぅぅ、疲れました
以上が最新版のDCケーブルの作り方です
音出しは流石に時間がなかったのでやってません!
簡易版とか言いながらガッツリ書いてしまうのは性分ですので悪しからず、
これ以上何を言えと言うんだって位のことを動画まとめのついでに書かせて頂きました
動画と一緒にDCケーブルづくりの参考にして下さい
ただし、何度でもいいますが、適当に作ると大事なエフェクターを壊す恐れがありますので、慎重に慎重を重ねて作業しましょう
単純な構造だからこそ、ちょっとしたミスが大惨事に繋がる場合だってあるんです
自分のエフェクターにはこれじゃなきゃだめなんだ!ってくらいのDCケーブルを是非作ってみて下さいね
製作に関してのご不明点などは本多、又は店頭の屈強なベーシスト軍団に聞いてみて下さい
それではまた、本多でした!
P.S.
エフェクターブック Vol.51も是非ゲット&チェックして下さいね!
個人的にFTT林さんのインタビューや坂本さんの別記事が好きでした~ |
0 件のコメント:
コメントを投稿