こんにちは。
今週のサンデンは、ケーブルに使用される金属「銅」についてのお話です。
一部のケーブルにはアルミニウム、ステンレス導体もあり、
オーディオ向け配線材の導体には「銀」を使用した製品もありますが、
ケーブルの導体のほとんどは「銅」が使用されています。
金属業界において、生産量の8割は鉄が占めていると言われています。
鉄のほとんどはそのまま使用することは少なく、
鉄に炭素を加えて強度を上げて使用します。
炭素の含有濃度と温度の関係は、下記グラフとなります。
このグラフは「特殊鋼販売技士3級」の試験に必ず出題されますので、大事です!
鉄は主に、鉄と炭素で構成された「普通鋼」と、
普通鋼にCr、Ni、Moなどを添加した「特殊鋼」として使用されます。
鉄は熱処理によって性質が変わり、加工のしやすさと低価格であることが、
金属生産量の8割を占める要素になっていると思われます。
一方、銅、アルミニウム、亜鉛など、鉄以外の金属は
すべて「非鉄金属」と呼ばれます。
そして、
ケーブルの導体は、
一般的に「銅」が使用されています。
理由として、
導電率が大きい
加工性に優れている
耐食性に優れている
機械的強度が大きい
価格が安い
などがあげられます。
銅の導電率を100とした場合、他の金属の導電率は以下となります。
銀 106.4
金 71.8
アルミニウム 61.7
マグネシウム 38.3
亜鉛 29.2
ニッケル 23.8
鉄 17.6
銅は銀に次ぐ導電率の大きさです。
また、銅は銀よりも価格が安いのも魅力です。
ところが、
「銅」の価格が
今大変なことになっています!
材料となる銅の価格は、「電気銅」の相場に連動しています。
ちなみに電気銅とは、粗銅を電解精製した電解銅を反射炉にて溶解し、溶湯を調整して目的に応じた形状に鋳造したものを指します。
日本国内の電気銅建値はJX金属の発表にて決定され、
ひと月に4回から10回ほど変動しますが、
材料としての銅はその時の電気銅建値を元に取引されます。
電気銅の年間の平均価格は下記の通りです。
2015年 715,400(円/トン)
2016年 573,700(円/トン)
2017年 733,500(円/トン)
2018年 763,900(円/トン)
2019年 698,800(円/トン)
2020年 700,200(円/トン)
2021年 1067,600(円/トン)
2022年 1202,500(円/トン)
2023年 1246,000(円/トン)
2021年から急激に値上がりしています。
新型コロナウイルスの流行によって、多くの国がロックダウンの措置を取り、
経済活動が停止したことで銅鉱山の供給が滞ったことが
銅価格高騰の要因の一つと言われているようです。
また、世界的に脱炭素化が進められる中で、
EV(電気自動車)の普及や
再生可能エネルギーの導入の伴う中長期的な
需要増加への期待が高まりやすかったことも考えられます。
ちなみに2020年の銅生産量の国別上位5か国は下記の通りです。
チリ 5,700(千トン/年)
ペルー 2,200(千トン/年)
中華人民共和国 1,700(千トン/年)
コンゴ民主共和国 1,300(千トン/年)
アメリカ合衆国 1,200(千トン/年)
そして、2024年になりまして、
1月 1262,200(円/トン)
2月 1294,200(円/トン)
3月 1342,100(円/トン)
と少しずつ上がっていましたが、
現在は
1560,000(円/トン)
まで上がっているのです!
今までに無い高値となっていますが、
今後この価格が
ケーブルの販売価格に反映されることとなります。
特にマグネットワイヤーはケーブル被覆はほとんど無いに等しいので、
製品価格は電気銅建値に直結します。
ケーブルによってはすぐに反映されない製品もありますが、この価格が続きますと値上がりは避けられない状況です。
今後ご使用の予定がおありでしたら、
今のうちに
ご購入されてはいかがでしょうか?
銅に限らず、金も価格高騰しています。
電気代、ガス代、宅配料金、日用品、食料品などなど全て値上がりで、
厳しいです・・・・・・
佐々木でした。
秋葉原直営店に是非お越し下さい。
皆様のご来店をスタッフ一同お待ちしております。
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