2020年8月14日金曜日

【DIY講座】世界一小さい!L型TRSフォンプラグ 『P-6.3TL』の作り方

P-6.3TL』を使って、超スリム・ステレオケーブルを作ろう!
世界最小クラスのL型・ステレオフォンプラグ
穴径6.0mm
¥1,000(税別)
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世界最小クラスのフォンプラグ【Super Slim Series】満を持して新発売!
※オヤイデ電気直営店・オンラインショップ限定商品となります。



【 開発秘話 】

Neutrikのプラグは細径のケーブルも使いやすく、品質も安定している為、
P-6.3TLが完成するまでの間は多く採用していました。
が、サイズがとても大きいのでエフェクターボード内を圧迫していました。

近年エフェクターの小型化と高性能化に伴い、「インサーションケーブル」「エクスプレッションペダル」を使えるエフェクターが増えてきました。その時に必要になっているのがステレオフォン(TRS)プラグ。TRSケーブルは主に「バランス伝送用」「ステレオ信号用」での利用が多く、実は短いTRSケーブル自体が殆ど売られていません。(一般的に1mが最短?)

なので、オヤイデ電気ではエフェクターボードに最適な「インサーションケーブル」「エクスプレッションペダル用の短いTRSケーブル」の特注依頼を多く受注していたのですが、使えるTRSプラグはどれもデカ過ぎる・・・

品質面に難があり、L111-TRS単体の取り扱いは断念。
加工時にプラグを追加工し、Insertion3398用に採用していました。
そこで登場したのが「日の出光気製作所 L111-TRS」という超小型ステレオフォンプラグ!

従来の自作パーツとしては驚異的なまでの軽量化に成功。しかし加工難易度が非常に高い点と、品質面に難があった為、基本的には完成品用部材として活用していました。
特にインサーションケーブルはLR.BaggsFishmanのプリアンプを使用しているお客様から沢山のご注文を頂いております。



しかし、2020年3月末日を以て「日の出光機製作所」が廃業となりました。

この発表を受け、オヤイデ電気では『L111で得た人気と技術を後世に残せないか?』と考えました。この旨を日の出光機製作所に相談したところ、快諾!
「販売が終了した後でも、既存ユーザーが安心してご購入いただけるよう、是非とも作ってください。」と有難いお言葉をいただきました。

そこでL111の技術を継承しつつ、ユーザーから頂いていた要望や悩みを反映させ、オヤイデ電気が独自にブラッシュアップさせたプラグこそ「P-6.3TL」となります!

もちろん加工精度に定評のあるオヤイデ電気製品と同じ工場で生産。安定供給能力品質の高さも特筆すべき点と言えるでしょう!

P-6.3TLの特徴

【 超軽量・超コンパクト 】

ここまでスリムなTRSプラグは世界初!
こちらのプラグ、なんと重量が16.0g!!(カバー込み)

多くの人が使っているであろう「Switchcraft #226」L型プラグは24.2g
ストレートタイプの「Switchcraft #280」は29.2g。。。約2倍重いですね。

エフェクターボードで多用してしまうと、プラグによってかなり重量差が出てしまうことでしょう。




他のプラグと比較してみました。

P-275LSとP-6.3Lとの比較。(P-6.3TLは右と同じサイズです)
本体の厚みとカバーの大きさが段違い。
正面から見ても、そのスリムさは一目瞭然!
ただコンパクトなだけではありません!プロの現場で一番多い故障は「チップ折れ」というトラブル。プラグを踏みつけたり、強い衝撃を与えたときにプラグの先端部分(くびれの部分から)が折れてしまうことがあります。

P-6.3Lで使われているチップ素材
このような問題を解決するべく、オヤイデ電気のプラグ製品は全て「1本の真鍮棒から削り出し」を採用しています。(汎用品や安物の場合、チップとはんだ付け部は別パーツとして扱われており、結合部から折れやすくなります。)
これだけコンパクトなのに「P-275LS」と顕著ない機械的強度とロスの少ない伝送特性を兼ね備えているのは凄いですね!


P-6.3TLの構造

製作時に便利な寸法図もございますので、製作の際にご参考頂きますと幸いです!

P-6.3TLの構造

世界最小クラスのプラグを作るにあたり、その製作方法も独自構造になっております。製作前に一度ご確認ください。

L111同様に中心の丸い部分がTIPの半田付け箇所。
その横に設置されている金属の板がRINGの半田付け箇所となります。
真鍮スリーブがSLEEVEとなっており、側面2箇所の穴から半田を流し込みます。

P-6.3L同様に「本体」「カバー」「樹脂キャップ」の3点で構成されています。

カバーの穴径は「6mm」のみ。
一般的なマイクケーブルも使えるので、様々な用途に活用できます!

それでは早速作っていきましょう!

P-6.3TL製作方法

※画像はクリックすると拡大できます。

ケーブルは「オヤイデ HPC-24W 2芯シールド線」を使います。
音質が良いのはもちろん、中身の2芯はFEP絶縁で耐熱性が高く、細身で柔らかくなっているのが特徴です。

ケーブル以外には「接着剤き熱収縮チューブ HSTTVA-19」と「耐熱テープ ASF-110FR 5mm幅」も使います。使う理由は追って説明します!
細かい作業になるのでピンセット「HOZAN PP-102」もあると尚良いです。

まず「カバー」と「収縮チューブ」を通しておきます。
収縮チューブの長さはスリーブを隠せれば良いですが、今回は約30mmでカットしました。

ケーブルのシースを約18~20mm剥きます。
P-6.3Lの時よりも少し長めに剥きますので、そちらの作業に慣れている方は注意です。


シールドをほぐして、2等分に軽く押し広げておきます。
なるべく剥き出した根元ギリギリから曲げると良いです。
画像に写っていませんが、綿介在は全て根元から切り落としてOKです。


ASF-110FRを3~4周分巻き付けます。
これは「外径を増やす」「耐熱テープでシースが溶けないようにする」が目的です。
(収縮チューブでも外径増やせますが、半田付け時に熱で軟化するので、ASF-110FRの方が安全かつ確実です。)

シールド線をASF-110FRの周りに巻き付けます。

導体を約5mm程度剥き出し、予備半田を行います。
剥き出し長は少し長くても問題ありませんが、白線が青線より短くならないように注意してください。

プラグ側も予備半田を行います。
隣のRING用端子に半田が触れないよう注意してください。

半田付け前にケーブルを挿入してみた写真です。
導体が適正位置に配置された時、真鍮スリーブの根元からシールド線が見えない状態を目指してください。
半田付け完了後の写真です。
半田付けの順序は

で行うとスムーズです。TIP&RINGを半田づけする際にピンセットがあるとないとでは作業性が全然違います。
「半田ゴテのコテ先が大きくて作業しにくい!」となる可能性もあります。そういう時は素直にコテ先を交換するか、新しく半田ゴテを買いましょう・・・。

スリーブ側面の半田挿入口より半田付けを行っていきます。
この時、写真のようにスリーブとシールドが密着していない(スカスカ)の場合、ASF-110の厚みが足りない可能性があります。半田付け前に必ず確認しておきましょう。

スリーブ部の半田付け完了図です。この時意識したいのは「スリーブとシールドがしっかり触れている状態で半田付けがされていること
スリーブ穴は2箇所あるのでどちらも半田付けします。

本体から出ている絶縁紙は「RING用端子」と「プラグの金属枠」が接触しないようにする為です
画像のように折り曲げても良いですし、必要分だけ残してカットしても問題ありません。

ちなみに特注品は耐久性向上の為に「ホットボンド」をプラグ内部に注入しています。
振動による半田クラックを防止したり、RING端子がTIP端子に触れないよう絶縁する目的があります。

テスター等で結線をチェックし、問題がなければ樹脂キャップで蓋をします。
プラスチックハンマー等で軽く叩いて取り付けてください。

収縮チューブで真鍮スリーブの絶縁を行います。
チューブはねじ山を避けるようにして配置してください。

今回使用した「HSTTVA-19」は接着剤付きなので、スリーブとケーブルが接着剤によりしっかりと固定されます。


あとはカバーを締めれば・・・




完成!

めちゃくちゃスリムにできました!

外径3.5mmのTRSケーブルの完成。
エクスプレッション用TRSケーブルってかさばりがちですが、これならボード内の邪魔になりませんね。




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※本当に薄利なので是非たくさん使ってあげてください~!


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以上、原田でした〜。

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