2022年12月23日金曜日

イケシブ×PedalBoard Overhaul リアルイベントを終えてのレポと裏話

 はい、オヤイデ電気本多です。

もう一ヶ月以上前のことですが、10/22にイケシブで行われたPedalBoard Overhaulのリアルイベントに出演してきました。

左から、当日遊びに来ていた中尾憲太郎さん、本多、田渕ひさ子さん、アンプステーション小林さん、EQDのタカさん

50名の定員枠に3倍ほどの応募があったとのことで、中々に反響がでかかったことが伺えます。

壇上から配信に飛んできたコメントもちょくちょく見させてもらってましたが、音の変化などしっかり感じて頂けていたご様子。

勿論現地のお客さんの反応もめちゃくちゃ温かくて、とても有り難かったです。

当日はあんまり喋らないように作業に没頭する予定だたのですが、お陰様で変なスイッチが入ってしまい勢いで喋りすぎました、軽く反省しています。


今回のブログではイベントの中で紹介できなかった事、例えばDCケーブルの仕込みについてや、私の発言の中で補足しておきたいことをつらつらと書いていきます。

例によって長くなるとは思いますが、物好きな方はお付き合いください。

これは当日の私の基地の写真



まずもって、PedalBoard Overhaulってなんぞや?という方は以下の記事を御覧ください。


【過去記事:ボード組み換え動画を撮らせて頂いた件 ~Pedalboard Overhaul~

まとめ記事:プロのペダルボードをオーバーホールする、新しい動画企画が始動!】


元はヤマハミュージックジャパンさんと合同で行わせて頂いている動画企画です。

実は既に何本か撮っているんですが、編集がえらい大変なため(編集チームの皆さんいつも有難うございます)、現状は1本しか世に出ていませんが、中々楽しいエフェクターボード組み換え企画です(12/22に2本目が出てましたー!)

私はご縁があってボード組み込みマンとして動画に参加させて頂いています。

LITEのBa井澤さんがゲストで出演した記念スべき1回目はコチラからどうぞ!


さて、今回はリアルイベントとのことで、お客さんの前で!、しかも1時間以内に!、という条件付きでやらせて頂きました。

ゲストはNUMBER GIRLやtoddle、他にもいろんな現場でギターを弾かれている田渕ひさ子さん。


ひさ子さんの様々な現場対応用のヴァリアブルなボードをより使いやすく、より品質を高めるためにオーバーホールしていきます。

で、実際にボードの総入れ替えを一人でやるとなると正直、極小規模なボードでもない限り1時間でなんてできません。


そこで打ち合わせの段階で、以下を事前に行うことにしました。


①載せ替えるボードの準備を済ませる

②DCケーブルを仕込んでおく

③パッチケーブルを8~9割方製作しておく

というもの。

打ち合わせで使用していた資料。事前にひさ子さんとはスタジオに入らせて頂き、組み替えるボードのサイズ感や設置した感じなどを確認頂いていました。
右のは私が実寸したパッチケーブルの長さとルーティング。

順に解説します。

先ず、①載せ替えるボードの準備を済ませる為に、具体的に何をしたかといいますと、

「パワーサプライをボード裏に仕込んでおく」

「マジックテープのメス(Loop)を貼っておく」

「AC電源用のケーブルを加工する」

といったことを行いました。


はい、最初のはそのままで、今回はVoodooLabのペダルボード「Dingbat Medium」に、パワーサプライとして同じくVoodooLabの「PedalPower 2+と「PedalPowerX4の2台を仕込みます。


ちなみに、2+はIECコネクターの電源ケーブルで動かしますが、X4は実は2+の12V出力から供給しても動かすことができます。

ただ、何回かやってみた感じ、たまに電力不足を起こすっぽいので、今回は付属のアダプターも一緒に仕込むことにしました。

2+の巨大な固定具を挟んで反対サイドにX4を設置し、アダプターの配線が引き出しやすそうな場所にアダプタを固定しました。

※ 後からアダプターもX4と同じサイドに設置すればよかったのでは?とか色々考えました。セオリーとして入力信号から一番遠い場所を選んではいますが、時間があればアダプターとの位置関係も精査できたかなと。

後になって俯瞰してみると、ここはこうできたとか、こうの方が良かったんじゃないか、等アイデアや反省点が湧き出してきます。

ここで考えすぎても埒が明かないので次に活かすことにします。


次にイケベの小林さんが進めるマジックテープをボード上に貼っていきました。

Dingbatのパワーサプライの留具は表面からネジ止めする仕様なので、先にパワーサプライを固定しとかないと後が大変ですよ。

全面に貼れればそれはそれで楽なんですが、ペダルの組み換え載せ替えが大変なんで必要な場所にだけで正直OKです。

流行りの穴あきスノコ型(セミスノコ?)ですので、利点を活かすために穴の部分は貼り付けた後にカッターなどで綺麗に処理しました。

何故か何も載っていない写真が見当たらない…
ちなみにこれは実際に置いてみて通電チェックなど行っている様子。
エフェクターのチョイスのテーマは「だいたい一緒」

で、最後にX4のアダプター用のケーブルを短くリメイクしました。

アダプターの電源はPedalPower2+からとっています。
このケーブルの這わせ方も後々変えたくなりました…

この辺は電線屋の得意分野です。

詳細は省きますが気が向いたら別記事で紹介させて頂きます。

左が実際に使った方、右はお試しに作った3398Ver.

どんどん行きましょう、ある意味一番気を使う②DCケーブルの仕込み。

今回、ひさ子さんはご自身でボードを頻繁に組み替えると伺っていましたので、パッチケーブルを裏に這わせず、表で配線することにしたのは動画の中でも話した内容なのですが、DCケーブルは色々なシチュエーションを考えた結果、どこにエフェクターを配置してもとりあえず裏からすっとDCケーブルが出てきて接続できるような設置の仕方をすることにしました。


いきなり完成形ですが丼

ひさ子さんのペダルの配置の仕方にパターンを見出しましたので、それに対応できる箇所へそれぞれケーブルを這わせました。

前段のエフェクターへ供給するセクション。
エフェクターが増えてもいいように接続していないDCケーブルも仕込んであります。


ケンタウロスから後のエフェクターに供給するセクション。
こちらもエフェクターが増えたとき用に、接続していないDCケーブルも組み込まれています。


ベースへの固定も今回はインシュロックを使用せず、組み直しがやりやすいビニタイで固定しています。


真ん中にある3.5mmL型プラグがついている黒いケーブルはCENTAUR用ですね。

これもカスタムでDCケーブル作っくちゃおうかと考えましたが、ちょっと大きな電圧かけただけで壊れちゃう可能性が有るシビアなエフェクターなので、安全を考慮してノーマルのケーブルのままにしておきました。


※ ここで補足。

DC-3398LLは普通のDCケーブルよりも導電率が高い=供給能力が高いのは確かです。

他が劣っているとかではなく、DC-3398LLに使用している102SSCという導体の力です。

試されたことが有る方はご存知かと思いますが、本当に新品の電池を使ったときのような元気な音になります。

新品の電池は9.6Vくらい出ていると言うのはよく聞く話ですよね。


DC-3398LLを繋いで実際に電圧を測ってみると、確かに9Vよりも多少大きな電圧が出ていたと実験してくださったメーカー様に聞いたことがありますが、ケーブルで昇圧しているとかではなく、その使用しているパワーサプライが設計上ほんの少しがけ大きな電圧が出るようになっていて、一般的なDCケーブルでも違いはわかるが、DC-3398LLだと如実にその違いが出た、ということでした。

で、作業しながら質問に答えなければ行けない場面でテンパった私が、9.6V出るとかって色々な情報が混ざったことを口走りましたが、ここで訂正させて下さい。


新品の電池だと9.6Vぐらい出ているものも存在する。

→それらを使うと確かに電気な音になる。

DC-3398LLを使うことで、同じくらい元気な音が出る。

これが言いたかったんです。


勘違いさせてしまった方や戸惑わせてしまった方がいらっしゃいましたら、この場を借りてお詫び申し上げます。


で、CENTAURにも元気いっぱいなサウンドになって欲しくもありましたが、念のためケーブルを変えずにしておきました、というわけなのです。


で、はいDCケーブルの配線でしたね。

大原則としてグランドループを作らないパワーサプライやエフェクターに負荷のかかる接続の仕方をしない、以上!

あとは一般的なDCケーブルと違い、ツイストケーブルですので、まとめて配線するのが難しい、絶対無理やん、などなどご意見を目にすることもありますが、特段難しいことはそうありません。

ケーブルには癖が必ずと言っていいほどありますので、その癖を生かした配線を行えばいい、ただそれだけです。

後は動画のパッチケーブルのとこでも言っています通り、ケーブルの抜けにくい方向、これもケーブルの癖が関与してきますが、それに習って配線します。

元々ツイストケーブルを真っ直ぐ配線すること自体が難しいんですねよ。
個人的には先ず機能的に、そしてなるべく美しく配線することを心がけています。

これも何度も言った気がしますが、殆どの作業をセオリー通りにやりつつも、結局はケースバイケースなんで、自分のボード内の環境、機器同士の相性、ボード外の機器との相性など色々考えながら作業する必要があります。

誰でも一朝一夕にできないからこそ面白いんだと、私は思います。


はーい、最後に③事前にパッチケーブルも作っておく。

シンプルなようで一番大事なことですよ、えぇ。

いくらソルダーレスでやるからって秒で作りまくるのなんてできなんですからね。

ちなみに9割は事前に作っていましたが、途中這わせ方を変更したケーブルがあったため、急ぎで作り直した場面も実はあります。


ひさ子さんにパッチケーブルを一本作って頂く場面があったと思いますが、本当はボードに組み込み終えた本多が作り方をアテンドする予定でした。

しかし、予定通りに作業が行えていなかった本多は一人心中テンパりまくり、ふと顔を上げた先にいたアンプステーション小林さんに、アドリブでもなんでもなくただぶん投げるという暴挙に出ました…

それを快く引き受けてくれて対応してくれた小林さん、マジで有難うございます、本当に助かりました!


ちなみに小林さんは皆さんご存知の通り普段からボードの組み込みをバリバリやられていますが、打ち合わせの日も色々と意見をすり合わせてまして、コレの時はこうする、こうするとやりやすい、といった話がお互いから飛び出す度に「こんなに解り会える人がいたんだ…(トゥンク…)」と、正直一人でときめいておりました。

今後も個人的に情報交換しに行きたいです。


そうやって密かにアクシデントを乗り越えて、時間内にボードは出来上がったというわけなのです。


完成したボード。
ちなみに左上のRV-3から中央のループBOXまでの這わせ方をその場で変更しました。
この方が輪が小さくなりグランドループが発生し辛くなります。



- 完 -


あっ、そろそろ締めますね。

はい、というわけで裏話でした。

久々に動画見に行きましたら公開から約1月で再生数が28,000とかいっててビビりました。

私、自分の声がそんなに好きじゃないのであまり見返したく無い派なんですが、やっぱりひさ子さんのギターが痺れるほどカッコよくて、それだけでも見る価値アリです。

ひさ子さん、有難うございました!

また、ケーブルによるエフェクターの音の変化もかなりわかりやすいです。

坂本さんと撮った動画と同じくらい音の変化がわかりやすい。

まだ観てない方は、是非、是非、是非!




それではまた次回…


となる前に、新しいPBOの動画が公開されていました!

 

COALTAR OF THE DEEPERS/特撮のギターリストNARASAKiさんと、スイッチャー付きボードへの組み込みにトライしています。

こちらの撮影秘話もそのうちに!


それでは、本多でした


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