2020年1月27日月曜日

UEW/PEW/AIW それぞれのエナメル線の剥がし方


デペントKXを使ってAIWの被膜を剥がすことはできますか?」と言ったお問い合わせをいただくことがままあります。デペントKXはPEW用の剥離剤ですが、見た目だけだとエナメル線ならどれでも使えそうですよね。しかし、実際にはエナメル線ごとに好ましい剥離方法が異なります。
と言うわけで、今回はエナメル線主要3製品について被覆の剥がし方についてご紹介します!!



被覆の剥がし方

紙ヤスリで削る
最も汎用性のある剥がし方です。目が粗いほど一気にガツガツ削れますが、導体の表面もザラザラに削れてしまうので外径寸法に細かな指定がある場合には注意が必要です。
左から100番(粗い)320番(普通)600番(細かい)で削っています。

予備ハンダの熱で溶かしてしまう
そのままハンダしてしまうだけなので簡単です。

被膜剥離剤(デペントKX)で剥がす
剥離剤に漬けてしばらくすると下の画像のように被膜表面がボコボコと膨らむので、それを拭き取れば導体を傷つけずにきれいに被膜が剥がせます。ただし、ちょこっとしか剥かない人にはコスパが悪いのが難点。



以上の三つが主要な剥がし方になります。
それではどのマグネットワイヤーにどの方法が適しているのか解説します。

UEW(ポリウレタン)

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耐熱130℃と他のマグネットワイヤーよりも耐熱温度が低いため、ハンダの熱でそのまま溶かして導通させることが可能です。ヤスリで削ることも可能ですが、被膜のある部分/ない部分がほぼ同じ色をしているため削れているのか外見から判別しにくい点からハンダの熱で溶かす方が安定します。尚、緑や赤の色付きUEWであれば被覆の有無が視認しやすいのでヤスリもアリです。

ちなみに剥離剤でも剥がせないことはないので △ としました。詳しくは過去の記事をどうぞ。


上記リンクの記事でも記述がありますが、デペントKXはPEW用の剥離剤です。試される場合は自己責任でお願い致します。

PEW(ポリエステル)

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オヤイデのYouTubeより。

PEWに関しては推奨商品でもあるデペントKXを使用するのが好ましいです。しかし、ちょっとした工作程度であれば瓶を買うよりヤスリで削る方が手軽ですね。尚、デペントKXは開栓してから時間が経つにつれて主成分が揮発してしまうため、使用される際は長くとも半年程度で使い切るイメージで冷暗所に保管してください。

AIW(ポリアミドイミド)

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耐熱温度も高いためそのままハンダ付けする事はできません。また被膜剥離できる薬品は存在するものの、下記の理由からオヤイデでは販売する事が出来ません。

・『毒物及び劇物取締法』の定める劇物に該当するため、オヤイデでは取り扱い/販売ができない。
・加熱するための機械設備の必要性、ロットが大量になる等の理由から、一般個人が手軽に扱える規模で流通していない。
これらを踏まえ、個人の工作~小規模の案件であれば手作業で被膜を削るのが現実的な選択肢となります。もしも「設備もあり、大量に使用する」と言った企業様で剥離剤をお探しの場合は専門業者への仲介も承りますので一度ご相談ください。

おまけ

 たまにラベルなどが紛失したり、ど忘れしたり、担当者が変わったりで手持ちのエナメル線が上記の何なのか分からなくなることもあるでしょう。
という訳で3種類を並べて撮影してみました。
AIW/PEW/UEW
画像だと分かりにくいのですが、PEWとAIWはどちらも濁ったような濃いめのオレンジ色、UEWだけが明るめの薄オレンジ色です。PEWとAIWは販売スタッフでも見た目だけでは判別しづらいため、購入時の情報は保管しておいてください。尚、オヤイデではボビン上部にラベルシールを貼っているのでそちらを見れば判別可能です。




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