2025年6月2日月曜日

【絶縁体とシース】電線の被覆って何のためにあるの?【コードとケーブル】


こんにちは。

ここ2~3年、人生の転換期を迎えている鈴木です。


これまでの学生時代~新卒時代まで、比較的平和で大きな変化もなく、あえて言うなら流行り病があったかな・・・くらいだったのですが、ここ数年での生活の変化が著しくて驚いています。

具体的には転職・引っ越し・結婚と続きまして、現在は新居探しの最中な訳ですが、実家の方が色々大変になったりと気が休まらない日々が続いております。

何も考えずに過ごしていた学生時代が懐かしいですね・・・



話は変わりますが、学生といえば、ずいぶん前に直営店の店頭にて学生の方にこんな質問をされたのを思い出しました。


「なんで電線の周りはゴムみたいなので覆われているんですか? 空気は電気を通さない絶縁体だと教わったのですが、だったら周りのゴムもいらないんじゃないですか?」


なるほど。正直考えたこともなかった質問です。

確かに空気は絶縁体。そして空気の絶縁破壊には、1気圧の場合だと3kV/mm以上の電界強度が必要・・・一般家庭で使用される電気では、そう簡単には流れません。


ではなぜ、身の回りにある電線はゴムみたいな物質で覆われているのでしょうか。

今週のサンデンは、そんな電線を覆うゴムみたいなの・・・絶縁体やシースのお話です。


電線を覆うゴムみたいなものを、絶縁体またはシースと呼びます。

絶縁体とシースは混在されがちですが、実は主な役割が異なる別の物です。


手始めに、その絶縁体やシースってそもそもなんぞやってお話からいたしましょう。


①絶縁体とは・・・

一般的に、電気抵抗に優れ、電気を通さない物質全般のことを指します。

身の回りでよく見る電線は、導体(金属)の周りを絶縁体で覆われているイメージとなります。

あ
※例:RSU。導体が絶縁体で被覆されている。

もちろん学生さんが挙げていた空気も絶縁体の一種ですが、電線の被覆によく使われるものを挙げると、ビニールやポリエチレン、シリコンやゴムなど、様々な種類があります。

ただし、絶縁体だから全て同じように使えるというわけではありません。絶縁体の種類によって、柔らかさや耐圧、対候性などそれぞれに特徴があり、電線の用途に合わせて使い分けられています。


②シースとは・・・

絶縁体の更に外側となるケーブルの表面に被覆された部分、つまり外装を指します。またジャケットとも呼ばれます。

※例:N-EV。絶縁体で被覆された導体が、さらにシースで被覆されている。

こちらも素材はビニールやポリエチレン、ゴムなど様々ですが、主な目的としては、電線を覆う絶縁体や導体を外部からの要因による劣化から守ることが挙げられます。


ちなみにこれらの被覆の構造によって電線の中でも呼び名(分類)が変わりまして、

絶縁電線一般的に単芯または少数芯の導体が絶縁体のみで覆われているもの全般を指す

コード単芯または複数芯の絶縁電線かつ可とう性(柔らかさ)があるもので、移動電線(※固定配線では使用不可)に分類されるもの。また基本的には屋内用。

ケーブル単芯または複数芯の絶縁電線を、更にシースで保護したもの。保護層であるシースがあることにより固定配線で使用できる。またシースの種類によっては屋外でも使用できるものもある。


などがあります。


コードとケーブル。同じようで実は別物なんですね。

※つまり左は電源コード、右は電源ケーブル・・・

絶縁体による被覆は絶対に必要?

ここで最初の質問に対しての結論を申し上げましょう。


実は、単純に電気を流すことだけを目的とするのであれば、電線を絶縁体で被覆する必要はありません

なぜかというと、学生さんがおっしゃった通り、空気を絶縁体として扱うことができるからです。


身の回りを探してみると、そんな被覆で覆われていない電線・・・裸電線も使われていまして、その最たる例が電柱の上にある送電線です。

ではなぜ、送電線では裸電線が使用できているのに、世の中には絶縁体で覆われた電線がこれほど多く存在しているのか。


その答えはとてもシンプルで、流したくないところに電流が流れるのを防ぐ・・・感電・漏電・ショートへの対策や、導体の保護を目的としています。


電気が流れている裸電線に生物や金属などの導体が触れると、予期せぬ電気の流れが生まれます。また電気が流れている電線同時が触れてしまうことで予期せぬ大きな電流が発生し、ショート(短絡)してしまうことがあります。

安全対策の一環として、人や物が触れる可能性が高いところには、絶縁体で被覆した電線が使われているということです。


よくパラシュートなんかが電線に引っかかってバチンっとなっている動画なんかがあると思いますが、あれは送電線が裸電線だからこそ起きてしまう現象です。感電してしまう電線が手の届くところにあったら危ないですよね。

つまり送電線は、人や物が簡単に触れる場所にないから裸電線で大丈夫なんです。

※更に突き詰めれば重量やコストの話も出てきますが・・・


また導体に外部から物質が触れることで、傷や断線などの破損に繋がる可能性が高まります。こういった接触による被害を防ぐことも、被覆の大きな役割となります。


学生さんのおっしゃる通り空気は絶縁体ではありますが、物質ではありません。つまり、空気では導体同士の物理的な接触を妨げることができないのです。

これが世の中の電線の絶縁体が空気だけではいけない理由です。

コードとケーブルとワイヤーと

コードに近い単語にワイヤーがあります。

これは主に絶縁の有無に関わらない単芯の導電体そのものを指すので、上記で挙げたコードやケーブルなどの分類とは若干意味合いが違います

オヤイデ電気で取り扱っている産業電線をざっくり当てはめると、


・ワイヤー(コードでもある):絶縁された単線(UEW/PEW/AIW)、縁された撚線(BX-S/RSCB/UL1007)裸線の単線(AC/TA)、裸線の撚線(BCA/TBC)など。

・コード:絶縁された撚線かつ平行線(VFF)、絶縁された単線かつ平行線(TIVF)など。

・ケーブル:絶縁された撚線or単線かつシースで保護されたもの(VCT/VVF/CV/各種同軸ケーブル)など。


このようになります。


ただし例外もありまして、VCTFなどの一部の製品は、構造上はどう見ても「ケーブル」なのですが、移動用の電源線などに使用されるので「コード」に分類されており・・・つまり造営材に支持固定することは禁止されています。

さらにVCTFとほとんど見た目は変わらないVCT「ケーブル」なので、こちらは造営材や電柱に固定して使用できたりと、使用する場所によって分類や配線方法の確認が必要になったりするのです。


電線の取り扱い・・・単純なようで難しい・・・


まとめ

いかがでしたでしょうか。

終わってみれば至極当然のことを綴った内容になってしまいましたが、コードとケーブルの違いなんかは知らなかったって人もいたんじゃないかなって思います。


・電線の絶縁体は、人が電気を安全に使用する為にある。ただし使用する場所によっては必ずしも絶縁体で被覆する必要はない。

・電線には分類がある。分類によって使用できる場所や配線方法が制限される場合がある


今回のサンデンでは、これだけでも覚えておいて頂けると幸いです。


良いマンション、見つかるといいなぁ・・・

悩み事を一つでも減らしたい鈴木でした。


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